【公共建築の日】建築系大学院生ら向けに木造建築の見学会を開催 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【公共建築の日】建築系大学院生ら向けに木造建築の見学会を開催

 東北地区の建築系5団体で構成する「『公共建築の日』および『公共建築月間』関連イベント実行委員会」(代表・佐藤晃治公共建築協会東北地区事務局長)などは13日、11月の公共建築の日(11日)と公共建築月間に合わせ、仙台と宮城県東松島両市内で2018年度施設見学会を開いた。建築系の大学生および大学院生ら約30人が参加し、県内の優れた公共建築を見て回った。
 今回は「木材を活用した公共建築」をテーマとし、視察先には仙台市が整備したオーエンス泉岳自然ふれあい館と、東松島市の市立宮野森小学校を選定した。
 このうち、最初に訪れた泉岳自然ふれあい館では、市や指定管理者の職員が事業概要などを解説し、設計を担当した関・空間設計(仙台市)の斉藤拓也設計監理部次長が「棟ごとに構造や内装の異なる使い方を見てほしい」と見学のポイントなどを紹介した。
 この後、参加者は2班に分かれ、斉藤次長らの案内のもと、館内を見学した。
 泉岳自然ふれあい館は、旧泉岳少年自然の家の老朽化に伴い、14年度に改築した。木に囲まれた斜面に立地する敷地条件から、切妻屋根の建物が寄り集まった集落のように分棟配置としたほか、建物の高さも周辺の樹木より低くなるよう建設した。
 建物は耐久性や耐火性、機能性などを確保しながら県産杉材を多用して木質化を図っており、用途に応じて異なる構造となっている。施設構成と構造は、玄関ホールや食堂、多目的ホールなどの本館と宿泊棟2棟が木造、研修室や浴室などの研修棟は木・RC造、浴室棟はRC造、体育館はS・RC造で、各棟を渡り廊下で接続した複合施設の規模は2階一部3階建て延べ9346㎡。
 内部は利用する児童らに配慮し、腰壁や宿泊室の扉まわりなど、児童が触れる範囲で効果的に木質化した。
 また、本館の330席を備える大食堂は、製材4本を束ねて組柱とし、そこから方杖を四方に伸ばすことで梁の負担を軽減。これにより、柱スパンが大きく、木々が林立しているような大空間を実現した。
 参加した大学院生の石岡郷梨さんは「食堂などの映える木材の使い方が参考になった。県産材という点からも、よりぬくもりを感じた」と感想を述べていた。

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