【ソイルセメントの強度・迅速分析】清水建設「CW―QUIC」が建築センターの審査証明を取得 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【ソイルセメントの強度・迅速分析】清水建設「CW―QUIC」が建築センターの審査証明を取得

 清水建設が開発・実用化した既製杭の根固め部のソイルセメントの強度を1時間以内で判定できる化学的技術「CW-QUIC」が、日本建築センターの建設技術審査証明を取得した。同社での現場適用数も100件を超え(2018年11月時点)、全国各地の杭工事現場で幅広く適用されている。品質検証を大幅にスピード化することにより、杭施工方法の妥当性を本杭施工前に検証できるほか、早期に本杭施工の着手が可能だ。また、過剰なセメントミルクの投入が不要になるとともに、杭品質の信頼性向上につながる。品質確保と工期短縮(コストダウン)を技術により両立した。19年度からはすべての施工現場で適用する方針だ。
 従来の強度確認手法は、現場で採取したソイルセメントからテストピースを作製して、所定の業者に強度確認を依頼していたため、最低3日の期間がかかっていた。このため、現場で即座に強度確認できる検査手法の確立が求められていた。
 CW-QUICは、従来法と同等以上の信頼性があるほか、必要根固部ソイルセメントが10mmリットルと少量で済む。また、マニュアルを完備しているため、高度な判定技量も不要で、1回当たりの検査費用も10万円以下で済むといったメリットがある。
 化学的判定手法の原理については、ソイルセメントの強度は、コンクリートと同じく、セメントと水の混合比率(セメント水比)と最もかかわりが深く、かつセメントはアルカリ性であることから、セメント含有量をアルカリと酸の中和反応を利用して、迅速に分析する。
 適用対象となる支持層土質は、砂質土、れき質土、粘性土の一般的な土質、セメントは普通セメント、高炉セメントで、一般的に杭の根固めに使用するセメントになる。
 建設現場での実施手順は、はじめに採取した未固結状態のソイルセメント10mmリットルを乾燥式水分計に投入し、乾燥前後の重量を比べて、水分量を求める。続いて、換算表上で求めた水分量と必要強度を結ぶ交点に示されている酸の量を確認する。その後、100mmリットルのプラスチック容器の中に所定量の酸、アルカリ・酸濃度を色表示する指示薬を1グラム、乾燥したソイルセメントを1グラム入れ、全体の重量が100グラムになるように加水する。
 以降、10分おきに容器を振ってセメントを溶かし、30分以内に色がつけば合格と判定される。酸性を示すグレーからアルカリ性を示すピンクに変色すると十分なセメントが含まれており、必要な強度を発現すると判定される。
 CW-QUICがこれまで適用不可能な土質はなかったほか、3件の不具合を回避する効果を発揮した。現業からも高い評価を得ているという。

ピンクに変色することで強度発現を判定

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