【群馬建協・リカレント研修】YDN大矢代表が講義 若手技術者が建設業の業態を変える「3次元化」を体感 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

公式ブログ

【群馬建協・リカレント研修】YDN大矢代表が講義 若手技術者が建設業の業態を変える「3次元化」を体感

 群馬県建設業協会(青柳剛会長)が2018年度から新たにスタートしたリカレント(学び直し)研修は22日、前橋市の群馬建設会館で第4回目が開かれ、i-Constructionに不可欠な3次元(3D)データの作成、活用方法などを集中的に講義した。入社3-5年程度の若手技術者を中心とする約30人の参加者が、建設業の業態を変える3次元化のいまを体感した。
 今回の講師は、正治組(静岡県伊豆の国市)の土木部長で、「やんちゃな土木ネットワーク(YDN)」代表を務める大矢洋平氏。大矢氏はi-Con発表以前から、ドローンやレーザースキャナーによる測量など、建設現場でICT活用に取り組んできた先駆者だ。

ドローンの性能を説明する講師の大矢氏

 研修会では実際に室内で3Dレーザースキャナーやトータルステーションを使い、点群データ取得や3D設計データ作成などの実習を行った。
 3Dレーザースキャナーの現況測量について、大矢氏は「セットしてスキャン開始のボタンを押す。人間のやることは、ただ待つだけ。現場ではターゲットの近くまで行く必要がなく、早く安全に測れる」などと利便性を紹介した。スキャナーは「見上げ」、ドローンは「見下ろし」が得意で、屋外ではそれぞれのデータを融合することで、より精度を高められるという。

研修では実際に3次元レーザースキャナーなどを操作した

 3D設計データ作成の実習では、実際のアプリケーションを使い手順を解説。ICTツールをうまく活用することで「自分で計算する必要はなく、丁張りなんかも必要ない」などと業務効率化の効果を説いた。3Dによる出来形管理や納品の方法も紹介した。
 重機なども配置した現場の3DモデルとVR(仮想現実)のコラボレーションも披露。再現した環境に実寸スケールで入り込み、現場の状況などを把握できる。クレーンの届く位置の把握や周辺設備との干渉など、「ぎりぎりの検討のときに特に役立つ。安全教育にも使える」という。
 大矢氏は3Dレーザースキャナーの購入当時、2年でペイさせる目標だったが、現況測量などの受注が好調で1年で元を取ることができたとし、「挑戦するなら早い方がいい。やってしまえば大したことはない、だれでもできる」と先行者利益の魅力を伝えた。
 締めくくりに当たっては「建設会社が図面通りに施工するという意味では、だれがやっても同じものは造れる。わたしは、目的を少ないエネルギーで達成する方法を常に考えている。早く仕事を終えて、ちゃんともうけを出す。なるべく新しい技術を取り入れることで、これまで手戻りなどで生じていた金銭的、時間的、精神的な『ダメージ』を『余裕』に変える」と語り、最後に「自分たちが未来の建設業をつくるという気持ちを持ってほしい」と呼びかけた。
 研修会を見学に訪れた青柳会長は「会社規模は大きくなくても、ICT活用のトップランナーとして走っている地場建設会社が確かに存在し、その取り組みを聞ける良い機会になった。いまだに、ICTは大手の話しと思っている地域企業もあるが、自分事としてとらえるきっかけになれば」と話した。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら