群馬県建設業協会(青柳剛会長)は1月31日、前橋市の群馬建設会館で、これまでに実施したICT土工研修やリカレント(学び直し)研修の受講者、企業経営者らを対象にした「フォローアップ研修」を開いた。群馬建協は『地域で人を育て、人が育つ建設業協会』という行動指針に基づき、さまざまな研修会を開催。地元にいながらにして、最新のICT機器に直接触れられる展示会も初めて企画。会員企業や行政機関などから100人以上が詰めかけた。
研修では、国土交通省総合政策局公共事業企画調整課の森戸義貴課長が、i-Constructionの取り組み状況などを解説。森戸課長は、公共土木工事の約95%が自治体発注であることを説明した上で、「ITC活用の地方自治体への普及が全国的な課題となっている。i-Conに積極的な企業とそうでない企業の2極化が進んでおり、底上げが必要」と指摘し、中小建設企業が手掛ける小規模工事向けの基準類などをより充実させていく方針を示した。
続いて、ICT活用の先駆者として知られる正治組(静岡県伊豆の国市)の大矢洋平土木部長が登壇。昨年の台風19号による土砂崩れで破損、1万2000人に影響する断水が発生した水道管の復旧工事の事例を紹介。3次元での測量や設計などにより、被災の翌朝には必要な材料の調達に入れ、当初10日かかるとみられていた送水再開を5日で成し遂げたという。
ただ、大矢氏は「技術者として、さらに1日でも2日でも早く断水を解消させたかった。もとから復元データがあれば」と満足はしていない。そこで現在、静岡県の担当者と協働し、上下水道や電気、ガス、電話など地下埋設物の3次元現況データを整備、オープン化する準備を進めていることを紹介した。