【鹿島】新設杭の杭頭処理工法「カット&クラッシュ工法」を開発 作業工程2割削減 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【鹿島】新設杭の杭頭処理工法「カット&クラッシュ工法」を開発 作業工程2割削減

 鹿島は、2011年に開発した微少発破による既存基礎の解体工法「鹿島マイクロブラスティング(MB)工法」を応用した新設杭の杭頭処理工法「カット&クラッシュ工法」を開発した。日本建築総合試験所の性能評価を取得し、都内で施工中の「LIXILWING新棟計画新築工事」に適用して計40本の杭頭処理を完了した。従来のハンドブレーカーによる作業と比べて作業工程が2割以上削減できた。

破砕した杭頭

 新築の建築物の杭を造成する際は、杭コンクリートの均質化を図るため、杭を800mmから1000mm程度、余分に打ち上げ、コンクリート硬化後に余盛り部分を砕いて除去する。従来のハンドブレーカーなどを使った除去作業は、騒音が長時間発生するほか、粉じんの発生で作業環境も悪化する。あらかじめ残す部分と余盛部分の間に薬剤をセットして硬化後にひび割れを発生させ、余盛部を引き抜いて除去する方法もあるものの、大型の重機が必要になるなど、施工条件によって適用が難しい。
 「カット&クラッシュ工法」は、杭体の残す部分と余盛部分を水平に切断し、余盛部分を破砕する2段階で瞬時に発破する。水平切断では、残す部分と余盛部分の間に外側から中央に向かって穿孔して非火薬破砕剤を装てんする。非火薬破砕剤によって発破時の衝撃波が発生せず、杭体の残す部分に損傷を与えない。余盛部分の破砕では、あらかじめ鉄筋かご内側にらせん状の管を仕込み、コンクリート打設後に、らせん状の管と、鉛直に穿孔した孔にそれぞれ爆薬を装てんする。2段階の発破を0.05秒間隔で実施すれば、余盛部分は大型重機を使わずに除去できる程度に破砕でき、防爆シートで粉じんによる作業環境悪化も防げる。
 適用現場では、径2.0-2.5mの杭40本すべてに適用。発破時に一瞬の騒音は起きたものの、全体的な環境負荷は大幅に低減できた。今後、さらなる施工性向上やコスト低減に向けた検討を進める。

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