中国を中心にアジア全域で、顧客のノンコア業務を一手に引き受けるIFM(インテグレーテッド・ファシリティー・マネジメント)を展開するADEN社(中国)。これまで総務部門などが手掛けていた企業のさまざまな間接業務を請け負いながら、テクノロジーの活用により人材や資源、エネルギーを総合的に管理することで施設の機能性を最大限に高めることが特徴だ。アジア全域のスマートファシリティーマネジメント(SFM)業界のリーディングカンパニーとして存在感を高めており、日系企業を対象とした海外進出時のサポートなどにも取り組んでいる。
同社が手掛けるIFMは、ファシリティー関連を始めとする企業のノンコア業務に対して、ワンストップでソリューションを提供する。例えばグローバル企業のアジア全域のオフィスや工場、R&Dセンターといった拠点の管理業務を一括で請け負い、各業務に対応する特定の業者を選定し、同社がノンコア事業を統合的にオペレーションすることで、顧客はコア事業への集中とマネジメントの効率化、コストの適正化を図ることが可能となる。
同社がカバーするメニューは、清掃や警備、設備の維持管理を始め、給食、人事業務代行、エネルギーマネジメントなど80種類以上にも及ぶ。従来は総務や人事などが担当していた業務を同社が一手に引き受けることから、日本法人の藤井亮太日本事業責任者は「企業の総務部門のM&A(合併・買収)に近い」と表現する。
そうした間接業務へテクノロジーを積極的に活用するデジタル化も強みの1つだ。清掃業務の場合、清掃員にスマートフォンを持たせ、同社独自のアプリケーションやQRコードを活用して業務報告をまとめる手法などを導入することで効率化を実現している。その他の業務でもIoT(モノのインターネット)やロボットなど先端技術を取り入れることで、サービスの改善を図っている。
藤井氏は「あらゆる領域をカバーしつつテクノロジーを活用することが当社の特徴」と話し、「デジタル化によって業務を効率化することで、顧客のコスト削減に貢献する」と強調する。
同社の日本法人は現在、約70社の国内企業と契約しており、主に中国や東南アジアといった海外への進出や、既にある海外拠点の移管の際に業務を請け負っている。特に近年では環境負荷やエネルギーコストの抑制、建物の価値向上の観点からエネルギーマネジメントのニーズが旺盛といい、太陽光発電やコージェネレーションシステム、マネジメントシステムなどの導入を支援している。
また、顔認証などを活用した施設内への入退館チェックなど知的財産管理を始めとするリスクマネジメント関連のメニューへの関心も高まっており、最適なソリューションを提供している。
国内でのIFMについて藤井氏は「コンセプトはまだまだ浸透していない」と認識しながらも、今後の人口減少やそれに伴う業務効率化への要求の高まり、間接業務の多様化などを背景に「これからは引き合いが出てくる」と見る。これまで各国で蓄積した実績やノウハウを生かし、国内での積極的な事業展開も見据えている。