【素材優先の設計を!】LIXIL「DTL Communication Day」で建築家・鈴野浩一氏がタイルの可能性を紹介 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

公式ブログ

【素材優先の設計を!】LIXIL「DTL Communication Day」で建築家・鈴野浩一氏がタイルの可能性を紹介

 LIXILは、次世代の「タイル研究所」として、ウェブサイト「DTL-DESIGNER’s TILE LAB-」を2018年10月に立ち上げた。そこでプロユーザー向けに、同社タイルのコンセプトや使い方を提案する一環として、2月14日に建築家の鈴野浩一氏(トラフ建築設計事務所共同主宰)を招き、東京都渋谷区の渋谷ヒカリエで「DTL Communication Day」を開催。空間中の対比づくりを軸に、タイルの可能性を紹介した。
 鈴野氏は、トラフ建築設計事務所で手掛けた建築であるスキンケアブランド・イソップの渋谷店、キャンディショップのパパブブレ、増永眼鏡青山店などの事例や、インスピレーションを受けた建築を写真で紹介しつつ、タイルなどの素材で空間にコントラストをつくる重要性を語った。

鈴野氏

 この中で「設計では、最初にコンセプトを決めて、どう予算に収めてつくろうかと考えていく。そのため、意識しないと素材をどうするか考えるのが後回しになってしまい、予算に合わせて素材を選ぶことになりがちになる」とした上で、素材について制約なしに吟味するためには、「なるべく素材を先に考える」ことが必要だとし、「1つの物件に軸となる1つの素材を決めて、その素材の工場まで足を運んで話を聞く」と、素材に対する自らのこだわりを語った。
 空間を考える際には、「1つの空間の中に対比構造をつくることを意識している」とし、「例えば、冷たい印象の金属的なタイルには、温かみのある木目の家具を合わせたり、竹の床や木の突き板にステンレスを合わせたりして、互いの印象を強めている」と、コントラストの意義を語った。
 その上で、タイルの選び方については「2種類のタイルを並べるだけでも、クラシックなチェック柄で並べた部分と、波打つような柄に並べた部分を同じフロアに共存させると対比の効果が出る。また、タイルを床の全面には張らず、壁際だけモルタルの部分をむき出しにすれば、タイルの存在感を際立たせることができる」などと、実例を示しながら説明した。
 さらに、タイルの使い方にも具体的に言及。「タイルは規則正しく並べるほかに、例えば3-4種類の色のタイルをあえてランダムに並べてみると、ランダムさの中に表情が出てくる。タイルは、規則・不規則どちらでも豊かな表現ができる素材」とタイルの可能性の広がりを指摘した。
 同講演は大阪で5日に開催されたほか、13日には名古屋市のミライエ・レクストハウスナゴヤ・バンケットルームでも開かれる。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら