【福島県・復興祈念公園】基本設計案「4つの基本理念×4つの時間軸」で常に変わっていく公園に | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【福島県・復興祈念公園】基本設計案「4つの基本理念×4つの時間軸」で常に変わっていく公園に

 変わり続ける公園に--。東北地方整備局は20日、福島市内のラコパふくしまで「福島県における復興祈念公園有識者委員会」(委員長・横張真東大大学院教授)を開き、同公園の基本設計案について議論した。案では、「生命(いのち)をいたみ、事実をつたえ、縁(よすが)をつなぎ、息吹よみがえる」という4つの基本理念ごとに、東日本大震災から10年後、12年後、20年後、50年後の4つの時間軸でレイヤー(階層)を重ね合わせて整備していくとした。また、公園中心部に国営追悼・祈念施設(仮称)として、高さ約20mの「追悼と鎮魂の丘」を設置することを盛り込んだ。
 同公園は震災の犠牲者の追悼・鎮魂や、記憶と教訓の後世への伝承、国内外に向けた復興に対する強い発信などを目的として、双葉、浪江両町にまたがる約50haの敷地に整備する。
 東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で、両町を始めとする周辺地域の復興計画に流動的な部分もあることから、基本設計案では4つの基本理念ごとに4つの時間軸で公園の役割・機能を整理して整備を進めていく方向性を示した。
 会合では、特定復興再生拠点区域に認定された6町村の避難指示解除の目標時期である震災から12年後(2023年)の姿を提示。公園中心部には犠牲となったすべての生命を悼む場として「追悼と鎮魂の丘」を整備し、震源方向や原子力発電所の排気筒、震災遺構、中間貯蔵施設などを望めるようにする。
 丘の南西に位置する双葉町側には「記憶と伝承の広場」を設け、県が整備するアーカイブ拠点施設と連携した震災伝承活動のスタート地点とする。広場に隣接して「まちや産業の復興を発信する場」を整備し、スポーツや屋外コンサートなどに活用する。
 また、丘の北側の浪江町側にも「スポーツ・レクリエーション・伝統文化に関わる活動の場」「地域の伝統を継承する場」などを設置する。
 委員からは「広大な公園内を移動するモビリティーを検討すべき」「VR(仮想現実)などを活用し、かつての故郷を慈しむ仕掛けを考えてほしい」といった意見が寄せられた。
 会合後、横張委員長は「公園内にとどまらず、県全体、世界との関連性を常に考えることが重要だ。1つの完成形を維持するのではなく、常に変わっていく公園になる」と述べた。
 同公園の整備は、4月中に基本設計を策定した後、実施設計に入る。20年の東京五輪までの一部利用開始を目指す。

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