【記者座談会】建設業法改正案が閣議決定/ドローン活用インフラ点検 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【記者座談会】建設業法改正案が閣議決定/ドローン活用インフラ点検

A 建設業法などの改正案が15日に閣議決定した。成立すれば、経営事項審査の受審を義務化した1994年以来、25年ぶりの抜本的な見直しという声もある。
B 大きな柱は、5年後に適用される建設業への時間外労働の上限規制を見据える中で、最大の課題となる働き方改革の推進だろう。特に取り組みを支える適正な工期の確保を目的に、従来になかった工期へのアプローチを打ち出している点が特徴だ。
A 工期のアプローチとは。
B 現行の建設業法に「不当に低い請負代金の禁止」が規定されていることを参考に、注文者(発注者)の責務として「著しく短い工期の禁止」という“禁止規定”を新たに追加する。中央建設業審議会が作成・勧告する「工期に関する基準」を前提にして、著しく短い工期の請負契約締結を規制することになる。
C この仕組みに対しては、18日の石井啓一国土交通相と建設業4団体との意見交換会で、日本建設業連合会の山内隆司会長が「適正な工期設定の推進は週休2日の推進に寄与する」と評価していた。
A それ以外のポイントになりそうな点はあるかな。
B もちろん社会保険の未加入企業に建設業の許可・更新を認めない仕組みづくりや、一定の条件を満たすケースで監理技術者の複数現場での「兼任」を認める専任緩和も柱の1つだが、工場製品の活用に向けた環境整備(製造メーカーに勧告できる仕組みの構築)や、注文者に施工者に対するリスク情報の提供を求める仕組みも重要だ。
C 特に注文者によるリスク情報の提供は、基礎杭工事問題への対応を受けて、2016年6月にまとめた基本問題小委員会の中間報告に盛り込んでいた「民間建設工事の適正な品質を確保するための指針(民間工事指針)」を昇華させた取り組み。その後の『建設産業政策2017+10』を含めて、近年の産業行政の取り組みが、この改正案に凝縮されている。

大手通信事業者はドローンを活用した点検事業に参入し、プラットフォーマーとしてさまざまなサービス提供を目指す

大手通信事業者など参入が多様化

A ところで最近、大手通信事業者がドローンを使ったインフラ点検事業に参入するケースが増えているね。
D 大手通信事業者は、ドローン活用で必要になるデータ通信について、さまざまな業種の企業からの相談に応じてきた。その過程で、機体や運行管理を担う事業者とも連携するようになり、ドローンに関するいわゆる“プラットフォーマー”になれると判断したようだ。
A 機体の機能や種類も多様化しているようだが。
E ドローンと言えば写真測量やレーザー測量など屋外での活用のイメージが強いが、最近では屋内での利用に特化した手のひらサイズの小型ドローンも開発されている。構造物内の高所など、これまで高所作業車を使っていた個所もドローンで撮影した映像から確認できるため、効率性と安全性の向上につながるね。
D 災害時の活用を想定した300度までの耐火性能を備えるドローンも開発された。火元の上空を近距離から撮影でき、詳細な現場確認が可能となる。また、水深100mまで潜行可能な機体もあり、橋脚点検などに活用できる。
E 機体の性能も着実に向上している。安全な飛行の実現に向けて衝突防止機能を搭載した機体は普及しつつあり、積載性や航続距離、バッテリー持続時間なども高まった。現場での資材運搬に活用した事例もあり、今後も多様な環境で活用が進みそうだ。
D オペレーターの育成も進んでいる。世界最大手の中国のDJIは、日本国内に専門のトレーニングセンターを開設した。コマツやトプコンなどと協業して開発した測量プログラムなどを提供し、ドローン利活用を後押ししている。

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