【記者座談会】中建審が標準契約約款を改正/男女賃金差異開示を義務化 | 建設通信新聞Digital

5月10日 金曜日

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【記者座談会】中建審が標準契約約款を改正/男女賃金差異開示を義務化

A 中央建設業審議会が21日に公共工事標準請負契約約款と民間建設工事標準請負契約約款(甲)を改正し、同日付の施行を勧告したけど、そのポイントは。

B 危険な盛土の発生を防ぐため、公共約款では契約書の添付書類である仕様書に搬出先の名称と所在地を定めることを標準にした。発注者が工事発注段階で搬出先を指定する「指定利用」の原則実施に併せた措置だ。

C 民間約款は、公共約款より緩めて「仕様書に定めることが望ましい」と規定した。ただ、搬出先の名称と所在地を定めることが困難な場合でも、発注者が受注者による建設発生土の適正な処理を確認することを追加している。

D 国土交通省が今後予定する資源有効利用促進法の省令改正に併せて、両約款を改正することも決めた。5月に成立した盛土規制法を踏まえ、建設工事受注者への義務付けを拡大するなど、再生資源利用促進計画制度を強化するもので、建設発生土に関する両約款の改正は2段階で実施することになる。

A 暴力団排除条項の対象も広げているね。

C 各省庁と警察庁が個別に締結している暴力団排除の合意書に比べ、公共約款で定める「役員等」の範囲が狭かった。「その他経営に実質的に関与している者」を役員等に含めたことで、顧問、相談役、支配人、5%以上の株式を保有する株主らが暴力団員の場合や暴力団に便宜供与した場合に、発注者が工事の契約を解除できるようにした。

D 役員等が暴力団や暴力団員を不当に利用している場合に、契約を解除できる規定も新設している。

B 国交省は、公共約款の改正と同じ内容で既に入札の暴力団排除規定を定めている。そのため、国交省発注工事での対応はこれまでと変わらない。今回の公共約款改正は、警察庁と合意書を締結しないで公共約款を使用している一部の省庁が、契約解除権の範囲を拡大できる効果がある。

21日に開いた中央建設業審議会の総会。公共、民間の両標準請負契約約款を改正した

来月中に省令改正し施行

 
A 話は変わるけど、男女間賃金格差の解消に向け、企業に男女間賃金差の開示を義務付けるようだけど。

E 女性活躍推進法に基づき、情報公表項目に「男女の賃金の差異」を新たに追加する。常時雇用する労働者301人以上の企業は必須項目となり、義務化される。同101-300人の企業は選択項目、同100人までの企業は努力義務となる。

F 女活法の施行規則などを7月中に改正して施行する。施行後に締め日を迎える事業年度の実績から開示を義務化する。最初の開示は7月期決算の対象企業からだ。多くの企業は3月期決算のため、初回の情報開示は2023年4月以降になる。

G 情報開示の時期は決算日から「おおむね3カ月以内」とすることが固まっている。情報開示の場所は、自社のホームページや厚生労働省の「女性活躍推進企業データベース」になりそうだ。

A どのように開示することになるのか。

F 開示は連結ベースではなく、企業単体ごとになる。賃金の差異は全労働者の絶対額ではなく、男性の賃金に対する女性の賃金の割合で開示する。同様の割合を正規・非正規雇用に分けて開示しなければならない。

G 開示に当たり「説明欄」を設けることがポイントの一つだ。建設企業の場合、女性の新卒採用を強化した結果、前年と比べ相対的に賃金水準の低い女性労働者が増加して男女間賃金格差が拡大することもある。こうした内容を記載すれば、女性活躍推進の観点から企業が努力していることが分かる。

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