【BIM未来図・イクシリア②】BIM軸に連携する流れ拡大 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【BIM未来図・イクシリア②】BIM軸に連携する流れ拡大

 BIMで次代の生存戦略をーー。ixrea(鹿児島市、イクシリア)の吉田浩司代表取締役らが中心メンバーとなり、2018年9月に鹿児島市のマルヤガーデンズで開いたイベント『BIMフェス』には、地元の設計事務所、建設会社などから総勢30人が参加した。経営層に混じり、学生の姿も見られた。ソフトベンダー主催のBIMイベントは多いが、実際にBIMを使うプレイヤーが主体的に普及イベントを開くのは全国でも珍しい。

昨年9月に開いた「BIMフェス」

 「地元のBIMに対する熱気を強く感じた」と手応えを口にする吉田氏は、愛用するBIMソフト『ARCHICAD』の九州地区ユーザー会に入り、BIM普及の推進役として積極的に講演活動などに汗を流しているだけに、鹿児島でのBIMイベントに対する思いは誰よりも大きい。
 80人にも及ぶ九州地区ユーザー会の中でも、鹿児島地区はBIMに前向き。18年11月に登壇した鹿児島県建築士事務所協会の講演でも「もうすぐBIM元年から10年が経過する。もっと本気になってBIMに取り組んでみてほしい」と来場者に強く訴え、会場からのBIMに対する前向きな反響を感じた。
 「5年前に講演した時に比べると、BIMへの関心が大きく様変わりしていた。それだけBIMが地方の設計事務所や建設会社に浸透しつつある。これまで私の経験を通し、BIMの必要性を訴え、変わらないといけないことを呼び掛けてきたことも無駄ではなかった。フェスの開催にこぎ着けたのも、そうした地元に熱気があったからだ」と力を込める。
 フェスには意匠設計、構造設計、設備設計、建設会社、確認検査機関などさまざまな分野から参加があった。地元大手の設計事務所や建設会社も出席した。このように鹿児島ではBIMに取り組む企業の輪が着実に広がっている。「九州の中でも他の地域と比べ、鹿児島のBIM熱は確実に高まっている」と、吉田氏は実感している。当日は導入事例が紹介されたほか、意匠、構造、設備に分かれてディスカッションも行われた。
 同社がBIMの導入効果を高めるため、パートナー関係にある地元の構造設計事務所や設備設計事務所と3次元モデルデータの連携に向けた検討にも乗り出しているように、実務面でもBIMを軸に連携する流れも徐々に広がり始めている。フェス発起人でもあるユーミーコーポレーション(鹿児島市)の山崎竜次FC事業本部住宅開発部課長も「鹿児島から新たなBIMの試みを発信していきたい」と前向きな思いを持つ1人だ。
 賃貸マンション建設事業を主にするユーミーコーポレーションでは、3年前から戸建て住宅事業にも参入を決め、その協力設計者としてイクシリアとタッグを組み、両社は実物件を通じたBIM連携にもトライしている。それは、地方では初めてとなるBIMを活用した確認申請への挑戦でもあった。

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