【BIM未来図・イクシリア③】地方初のBIM確認申請 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【BIM未来図・イクシリア③】地方初のBIM確認申請

 鹿児島に本社を置く建築設計事務所のixrea(イクシリア)と建設会社のユーミーコーポレーションが連携し、BIMを活用した建築確認申請の許可が下りたのはことし1月のことだ。愛用するBIMソフト『ARCHICAD』では地方都市で取り組んだBIM申請の初事例でもある。
 そのきっかけは、アーネストアーキテクツ(東京都港区)が東京都内で試みた初のBIM申請事例だった。「鹿児島でも実現したい」。ユーミーコーポレーションの山崎竜次FC事業本部住宅開発部課長が、イクシリアの吉田浩司代表取締役に相談し、具体的に動き出した。確認検査機関の日本ERIも前向きに対応してくれた。
 ユーミーコーポレーションは、自宅を建てようとしていた社員の住宅をトライアルプロジェクトに位置付け、自らが設計者となり、イクシリアが設計協力する体制で挑んだ。建設場所は崖地にあり、3次元を使った把握がしやすい利点もあった。担当したのはユーミーコーポレーショFC事業本部住宅開発部の植囿清香さんとイクシリアの長元恭子さん。日ごろからBIMソフト『ARCHICAD』を使いこなす長元さんが先生役となり、1年前からARCHICADを使い始めた植囿さんをサポート。「二人三脚」で地方初の確認申請BIMに挑んだ。

左から吉田氏、長元さん、植囿さん、山崎氏

 審査を担当した日本ERIの担当者も18年9月に開いたイベント「BIMフェス」に参加するなど、BIMへの関心を持っていた。最初からBIM申請にチャレンジする予定だったが、審査側からまずは電子申請をクリアしてからと提案され、それを実現した上でBIM活用に移行した。BIMに精通した設計協力者(イクシリア)とBIMに関心をもつ審査担当(日本ERI)によって「良いチームが作れたことが成功につながった」と山崎氏は考えている。
 BIM活用の申請は作業効率という側面でも効果があった。「これまでは修正があるたび審査機関まで出向いていた手間がなくなった」とは植囿さん。「手が空いた時間に支援することができた」と長元さんはクラウドを介して情報共有できるARCHICADのチームワーク機能が効果的だったとの感触も得た。
 審査側も紙図面は一切見ずにARCHICADビューアツール『BIMx』を活用し、タブレット端末でPDF図面を確認しながら審査に取り組んだ。全国初となった東京都内での事例をベースに、審査側がBIM申請のフローを構築しており、それが審査をスムーズに進められた要因にもなった。
 吉田氏は「現時点でBIM申請の実現には審査側のスキルや意欲が問われるところが大きい。特に地方では審査側の事情もあるだけに、われわれの事例が今後につながるきっかけになれば」と力を込める。鹿児島発の取り組みが地方都市でBIMを活用した建築確認申請のきっかけにもなろうとしている。

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