【笠原建設・女性活躍】地域建設業・女性比率2割超 社員の声を傾聴、男性と女性が働きやすい環境に | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【笠原建設・女性活躍】地域建設業・女性比率2割超 社員の声を傾聴、男性と女性が働きやすい環境に

 新潟県糸魚川市を代表する建設企業として、地域の安心・安全を守り続ける笠原建設(鈴木秀城社長)。他の地方都市と同様に人口減少が進み、担い手不足という建設業の共通課題に直面するが、業界有数の在籍率を誇る女性社員が地域の守り手として体制維持に一役買っている。男女問わず自然体で接し、苦労を分かち合える社風は女性の活躍の場を創出するだけでなく、入職・定着も後押ししている。
 社員数は168人。そのうち女性は36人(事務21人、技術15人)で、女性比率は2割を超える。管理部の渡邉誠司次長は「女性だけでなく、男性についても積極的に採用している」と前置きした上で、「女性が多い理由は若手女性社員の相談に乗ってくれる、女性上司の存在が大きいのでは」とみる。
 土木・建築両部には社歴の長い女性技術者が数人在籍。企業訪問で同社に足を運ぶ女性学生、生徒に対して自身の経験やものづくりの魅力、やりがいなどを直接伝えている。感銘を受ける“担い手候補”も少なくないという。近年は男性技術者より女性技術者の方が採用人数が多い傾向にある。

左から石堂さん、野本さん、小野島さん

 また、若手女性社員の悩みにも応じる。建築部の石堂美紀さんは「この仕事が大好きだけど、将来結婚して子どもを生んだとき、仕事と家庭を両立できるか不安」と吐露する。
 多くの社員を指導してきた、同部第二課の渡辺智美係長は「出産後も仕事を続けたものの、仕事、育児の両方が中途半端になりそうだったため、(笠原建設を)一度退社した。建設業、そしてこの会社で働くことに誇りを持っているからこそ、迷惑を掛けたくなかった」と明かす。
 企業側からの熱心な呼び掛けもあり、育児が落ち着いたところで復職。以前と比べ「現場環境は改善されているとともに、会社の福利厚生も充実しており、確実に(女性が)働きやすくなっている。仕事と家庭の両立には企業だけでなく、家族の理解も不可欠だと感じている」とし、パートナーや両親の協力があって「仕事も家庭も一生懸命取り組める」と強調する。
 土木部の小野島后梅さんは、前職で経験した女性技術者としての葛藤に触れながら、「女性を変に特別扱いしないのが(笠原建設の)特長だと思っている。また、親しみやすい人が多く、コミュニケーションがとりやすい」と話す。
 同部の野本麻衣子さんは、「生まれ育った地元に恩返ししたかった」ことから、同社への入社を決断。女性専用トイレの設置を始め、「現場の環境は大きく変わり始めている」との認識を示す。今冬は国道の除雪作業にも従事した。
 笠原翔太取締役営業企画本部長は、「今後も社員の声にしっかりと耳を傾けて改善を図り、社員と会社が成長できる環境を構築したい」という。制度、設備の充実とともに、社内の情報共有、意思疎通に力を入れ、男性と女性が魅力を感じ、働きやすい企業づくりを引き続き進める方針だ。

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