【文化財をまちづくりの核に】山藤組100周年プレイベント 建築史家・藤井恵介氏が特別講演 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【文化財をまちづくりの核に】山藤組100周年プレイベント 建築史家・藤井恵介氏が特別講演

 2020年に創業100周年の節目を迎える山藤組(群馬県桐生市、山藤浩一社長)は、100周年記念事業のプレイベントとして、東大名誉教授で文化庁文化審議会委員を務める建築史家、藤井恵介氏による特別講演会を開催した。藤井氏は「文化財はまちづくりの核となる。いろいろなアイデアを出し、文化財の保存と観光開発に挑戦してほしい」と呼びかけた。

藤井東大名誉教授

 同市の桐生グランドホテルで5日に開いた安全大会の第2部に藤井氏を招き、『暮らしの安全 まちの健全な運営』をテーマに講演した。
 桐生や赤岩地区などの文化財調査を通して群馬にも精通している藤井氏は、たくさんの写真を披露しながら、100年以上にわたり県内に現存する養蚕農家の家屋の特徴などを解説した。
 そして、これまでの調査、保存活動などを踏まえ「古い建物やまちの仕組みが一度失われてしまうと、どこにでもある普通のまちになってしまう。まちのもっていた歴史や過去の産業などが見えなくなる」と訴えた。
 一方、「文化財がまちづくりの核になりえるという考え方が近年、全国的に広まってきた」との認識を示し、昨年の文化財保護法改正を受けて「今後は文化財の保存と、それを核にした観光が強調される」と説いた。
 群馬には世界遺産の富岡製糸場を中心に、工場と呼ぶにふさわしいほど大規模だった養蚕農家の建物など、大量の素材が残されていると指摘。まちの健全な経営に向けては、「100年後のまちの姿を想像しながら、文化財保存と観光開発を重要項目に入れてほしい」と語った。

約150人が聴講した

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