【東日本大震災復興期間】後期「復興・創生期間」終了まで2年切る 21年度以降の議論が本格化 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【東日本大震災復興期間】後期「復興・創生期間」終了まで2年切る 21年度以降の議論が本格化

 政府は、東日本大震災の復興期間を2011-20年度の10年間と定めている。復興のステージが進むにつれて生じる新たな課題や多様なニーズにきめ細かく対応しつつ、被災地の自立につなげて地方創生のモデルになる復興を実現する期間として、後期5カ年を復興・創生期間と位置付けた。復興・創生期間の終了まで2年を切る中、21年度以降の復興のあり方に関する注目の議論が、内閣総理大臣の諮問機関である復興推進委員会で本格的に始まる。

3日に開いた委員会では、被災3県から復興完遂に向けて各種要望が寄せられた

 復興庁は3日に開いた同委員会で、委員会の下に「東日本大震災の復興施策の総括に関するワーキンググループ」を設置し、8年間の復興施策を総括することを決めた。総括の内容は、年内に定める「復興・創生期間後の復興に関する基本方針」に反映する。渡辺博道復興相は「引き続き復興のさらなる加速に全力で取り組むとともに、復興・創生期間後の復興のあり方についてしっかり検討を進めたい」と意気込みを見せた。
 21年度以降の復興のあり方検討で焦点になるのが、▽復興庁の後継組織の体制・機能▽財源--の主に2点だ。復興庁は、復興施策に関する企画・立案・総合調整を担うとともに、関係省庁の事業を統括・監理し、復興予算を一括要求・確保する機能を有する。また、復興に関する主任の大臣は内閣総理大臣で、復興大臣は復興庁の事務を総括する立場だ。
 被災3県からは後継組織について要望が上がる。福島県は、いまも約4万人の県民が避難生活を続けているとし、「複合災害との戦いは現在進行形で、福島の復興は10年間で終わらない」と強調。後継組織に関しては、復興庁と同様に専任の大臣設置と、大臣がリーダーシップを発揮できる体制の確保により、国が責任を持って復興を引き続き進めるよう求める。後継組織の機能に関しては、復興庁が担ってきた総合調整機能などを確保する必要があるとしている。
 宮城県は、復興庁が担ってきた被災自治体の一元的な窓口や、省庁横断的な企画調整などの機能が復興の進捗に大きく貢献したと評価し、「後継組織に担当大臣を置き、その強いリーダーシップの下、復興の完遂まで各種支援の継続をお願いしたい」と、機能維持を訴える。岩手県も「復興庁が担ってきた機能などが確保されるよう検討を」と要望する。
 財源に関しては、「切れ目なく安心感を持って中長期的に復興を進めることができるよう、国・県・市町村の間で認識を共有しながら、現行制度と同様の枠組みにより、安定的な財源をしっかり確保してほしい」(福島県)などの声が上がる。
 政府は、3月に決めた「『復興・創生期間』における東日本大震災からの復興の基本方針の見直しについて」や、6月に閣議決定した『経済財政運営と改革の基本方針2019』(骨太の方針)で、後継組織について「復興庁と同じような司令塔として各省庁の縦割りを排し、政治の責任とリーダーシップの下で東日本大震災からの復興を成し遂げるための組織を置く」と記述した。
 骨太の方針では「東日本大震災からの復興・再生は内閣の最重要課題」との位置付けもしている。
 復興推進委員会は、10月ごろに復興施策の総括を取りまとめる予定。今後の議論に注目が集まる。

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