【記者座談会】ゼネコン第1四半期決算出そろう/市場規模拡大する建設コンサル | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】ゼネコン第1四半期決算出そろう/市場規模拡大する建設コンサル

A ゼネコンの第1四半期決算がまとまったけれど、状況は。
B 大手・準大手ゼネコン26社のうち、9社が手持ち工事を順調に消化して売上高が第1四半期として過去最高となった。一方で、単体の受注高は、8割を超える22社が前年同期比減となった。特に土木の受注は16社が2桁を超える減少だった。大手・準大手ゼネコンがターゲットとする「中大規模公共工事の発注予定が下半期に集中している」との見方があるものの、通期の見通しでも18社が前期比減に設定している。各社とも手持ち工事量が豊富で施工余力が小さくなっており、消化に注力する調整段階に入っているのではないか。
C 完成工事総利益(粗利)率の面では、減少したゼネコンが7社にとどまり、大幅な工事採算の悪化はみられなかった。ただ、土木の粗利が20%を超えるような大幅な採算の改善もみられず、多くの企業が小幅な動きにとどまった。安定して10%前後を維持する体制が整ってきたのかなと思う。
D 今後は、20年3月期の受注の落ち込みで、「いったん踊り場を迎えるが、21年3月期以降、再び増加する」と見込むものの、好環境下で受注した手持ち工事が一巡して利益の積み増しが難しい案件も出てくるかもしれない。各社はロボット化・機械化・省人化による生産性向上と、その果実としての働き方改革実現を急いでおり、あわせて不動産事業や再生エネルギー事業など新分野の準備も着々と進めている。踊り場以降も工事受注の飛躍を目指すのか、別の道に歩むのか、21年3月期以降は各社の経営戦略の特色が業績となって表れてくるだろう。

過去最高の受注高、売上高達成が相次ぐ

A 建設コンサルタントは決算時期がさまざまだけど各社とも好業績のようだね。
E 売上高の8割以上を占める国内の公共市場が堅調に推移していることが大きい。特に昨年7月の西日本豪雨災害を始め頻発した大規模自然災害の復旧・復興に加え、これを契機とした防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策に伴う公共投資予算の増額によって通期や上期で過去最高の受注高、売上高を達成した会社が相次いでいる。
F 建設コンサル市場の拡大は、国土交通省の建設関連業を対象とした動態調査の結果からも明らかだ。大手50社の契約金額は1995年度の5236億円をピークに減少傾向に転じ、民主党政権時代の2010年度には3683億円まで落ち込んだ。11年3月の東日本大震災以降、復旧・復興や全国防災の需要が増大し、13年度には5222億円まで回復。復興需要のピークとみられた同年度以降は再び5000億円台を割り込んだが、アベノミクスによる財政出動や景気回復もあって高水準を維持し、16年度からは3年連続で過去最高を更新している。18年度の契約金額は5638億円に達し、底だった10年度に比べて5割増しとなっている。
E 19年度に入っても第1四半期(4-6月)の契約額は前年同期比12.6%増の2140億円とさらに好調を維持している。国土強靱化予算の執行は年度後半に入ってから本格化すると言われており、各社とも受注がさらに上振れする可能性は大きい。
F 建設コンサルにとって生産性向上につながる技術開発と担い手確保に向けた働き方改革はゼネコン以上に喫緊の課題だ。海外展開や領域拡大も含め、M&A(企業の合併・買収)や従来の枠を超えた連携・協業への取り組みも欠かせない。目下の好業績をどう次につなげるか、新たな動きを注視していきたいね。

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