【成瀬ダム現場】日建連東北生産性向上委が見学会 自律自動運転機械など最新鋭のICTをフル活用 | 建設通信新聞Digital

4月23日 火曜日

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【成瀬ダム現場】日建連東北生産性向上委が見学会 自律自動運転機械など最新鋭のICTをフル活用

 日本建設業連合会東北支部の生産性向上推進特別委員会(委員長・勝治博鹿島常務執行役員東北支店長)は9月27日、東北地方整備局が秋田県南部の東成瀬村に建設を進めている成瀬ダムの現場で見学会を開いた。同現場では高速大量施工を実現するために導入する自律自動運転機械など、最新鋭のICTが投入される。
 成瀬ダムの型式は台形CSG(Cemented Sand and Gravel)で、堤高114.5m、堤頂長755m、堤体積485万m3の規模。完成すれば国内最大の台形CSGダムとなる。本体工事は堤体打設が鹿島・前田建設工業・竹中土木JV(奈須野恭伸所長)、原石山採取は大成建設・佐藤工業・岩田地崎建設JV(池田千博作業所長)がそれぞれ担当している。
 冬季の現場積雪量が約5mに達する豪雪地帯であることから、基礎掘削やCSG・コンクリート工は11月後半から4月中旬まで工事休止を余儀なくされる。
 鹿島JVは工期と施工可能日・稼働時間からCSGの日最大施工量を1万6500m3と算出。この高速大量施工を実現するため、建設機械の自動化による次世代の建設生産システム「クワッドアクセル」やダムコンクリート型枠の自動スライドなど、ICTのフル活用による現場運営に取り組む。
 特に建設機械の自動化に当たっては、汎用(はんよう)車両にGPS(全地球測位システム)などの計測機器および制御用パソコンを搭載することによって自動運転させる自律自動運転方式を採用。施工条件の異なる現場で熟練オペレーターの操作データを収集・分析し、自動運転の制御に取り入れているため、熟練オペレーターと同等の品質が得られる。打設に携わる作業員を減らすことで安全性も向上する。
 現在、来年度からの本格施工に向けて試験施工中。最盛期にはブルドーザーと振動ローラー、ダンプトラック3車種計20台以上が無人でダムサイトを駆けめぐる予定だ。
 鹿島JVはこのほか、自動運転可能な置き型枠専用リフターや越流部下流面への全自動スライド型枠などを採用する方針でいる。

試験施工中の自律自動運転ブルドーザー

 一方、大成JVも▽3次元地質モデル図による採取計画▽CIMによるデータ管理▽ベルコンスキャナー▽画像処理を使った破砕材の連続粒度解析▽GNSS(衛星測位システム)による法面の3次元変位計測--などのICT活用に取り組む。
 見学会では奈須野、池田両所長から工事概要や現場での取り組み状況の説明を受けた後、勝治委員長を始めとする同委員会メンバーらが基礎掘削の進むダムサイトを見学した。

ダムサイトを見学する勝治委員長(中央)ら

 見学会を終えて勝治委員長は「自動化施工の技術に驚きを感じるとともに、これからの建設業のイメージが大きく変わっていく予感がした。ICT施工の取り組み成果によって工事が順調に進むことに期待したい」と話した。
 成瀬ダムは今後、2020年度からCSG工などに本格着手し、23年度の試験湛水、24年度の竣工を目指す。

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