兵庫県尼崎市の段ボール製造業・カワグチマック工業が北欧生まれのRe-board(リボード)を使った家具生産に乗り出した。現在は展示会ブースや催事場などで主に利用される同素材を使いオーダーメードで家具に仕立てるもので、同社の川口徹社長は「軽くて丈夫でコストも安い。納期も早く、質感や耐久性も問題ない」と自信を見せる。
通常の木材ボードであれば上からクロスを貼る必要があるが、リボードはあらかじめ印刷済みのため「現地で切ったり貼ったりする必要がない。トータルで見れば木のボードを使った場合とほぼ同じコストにおさまる」と川口社長は説明する。
強度は木材とほぼ同じながら、重量は同じ厚みの木と比べて「5分の1程度」という軽量さ。木と違い「反り」がないのも大きい。海外では自動車を置くモーターショーのブースやテレビ局のスタジオセットに採用されるなど、用途は拡大しているという。
ことし創立50年を迎えたカワグチマック工業は、包装資材段ボールの製造がメイン。「段ボールの仕事だけで差別化は難しい」と2009年からリボードを使ったディスプレイ事業を展開、現在では売り上げ全体の「15%から20%」を占めるまでに成長している。
そんな中でリボードの新市場として始めたのが、オーダーメードの家具だ。川口社長と面識のある美容関連の企業が企業内保育所を設置するのに当たり、リボードを使ったロッカーや収納棚の製作を依頼。軽くて扱いやすいと現場からも好評で、これまで大阪や兵庫の計5カ所に納入されている。

環境にもやさしい紙の家具として今後は福祉・教育系施設を始め、共同住宅など幅広い用途での受注に期待を寄せる。事業の拡大をもくろみ、埼玉県川越市に事業所も新たに開設した。5年後を目標に「ディスプレイ事業の売り上げを全体の3割まで伸ばしたい」と川口社長は意気込む。