【医師のニーズに応える】清水建設が新型手術室空調システムを商品化 2方向気流で快適さ創出 | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【医師のニーズに応える】清水建設が新型手術室空調システムを商品化 2方向気流で快適さ創出

 清水建設は、手術室内の温熱環境と清浄度を向上させる新型手術室空調システム「クリーンコンポ デュアルエアー」を商品化した。建築系技術商品を扱う100%子会社のテクネットを通じ医療機関向けに提供する。下降流(ダウンフロー)と水平旋回流(スワールフロー)の2方向の気流の組み合わせにより、快適・清浄な手術室環境を創出する。提供価格は、清浄度クラス10000、室面積60㎡程度の標準的な手術室用で約2000万円(工事費込み)としている。

クリーンコンポ デュアルエアー標準タイプの仕様

 昨今、増加している高度急性期医療対応の医療機関の手術室は、収容する医療行為者や先端医療機器の数が増え、大型化する傾向がある。一方、空調方式は天井中央部から術野(手術台や器械台をカバーする室中央エリア)に向けて空調空気を吹き出し、壁面下部に設けた吸込口から吸収する従来方式が主流となっている。
 しかし、この空調方式は術野では温度、周囲(手術台から少し離れた麻酔科医や技師、外回りスタッフの作業エリア)では温度と清浄度の両方の制御方法の改善が医療関係者から求められていた。特に温度については、術野にいる執刀医と周囲にいる医療スタッフでは、着衣や活動量が異なるので、1系統の空調制御では限界があった。
 クリーンコンポ デュアルエアーは、術野をカバーする下降流と周囲をカバーする水平旋回流の2系統で空調を行うことで、こうした課題を一挙に解決した。術野についてはこれまで同様、下降流により温度と清浄度を制御するが、下降流の吹出口に設ける温度センサーにより、吹出温度を23度に保つことで、執刀医が望む術野の温熱環境を維持し、快適性を向上させる。
 周囲については、水平旋回流を下降流の周囲に発生させることにより、温度・清浄度を制御する。水平旋回流は、天井付近の隅角部壁面対角に設ける吹出口から空調空気を吹き出すことにより発生する。この気流が、周囲のよどみを解消し、温度を医療スタッフの着衣・活動量に適した26度前後に保つとともに、清浄度を向上させる。
 実証実験により、下降流の吹出風速は毎秒0.3-0.45m程度で術野全体をカバーでき、水平旋回流は毎秒約1m程度の吹出風速で術野の下降流を乱すことなく、その周囲を大きく旋回することを確認した。また、今回の商品化を前に、4病院に対して同方式の手術室空調を提案し、計39の手術室で採用した実績があり、関係者から高い評価を受けているという。

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