【南極移動基地ユニット】極限環境下での持続可能な住宅システムを構築、実証実験へ JAXAら4者 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【南極移動基地ユニット】極限環境下での持続可能な住宅システムを構築、実証実験へ JAXAら4者

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)、国立極地研究所(極地研)、ミサワホーム、ミサワホーム総合研究所の4者は29日、東京都立川市の極地研で南極移動基地ユニット(AMSU)を報道陣に公開した。ユニットは、11月に南極観測船「しらせ」で昭和基地に向けて輸送し、2020年1月に到着する予定。2月から9月にかけて、極限環境下での持続可能な住宅システムの構築を目的とした実証実験を実施する。
 ユニットは、鉄骨ラーメン構造と木質パネルを組み合わせた南極の環境や移動・建設に適した構造・耐久性能とした。断熱・気密性能については、国内で販売している木質壁パネル(120mm厚)をベースに、南極の環境に対応した付加断熱仕様としている。外壁材はガルバリウム鋼板。施工省力化により、専門的な知識のない作業者でも施工ができるようにした。
 ユニットの長さは約6100mm、幅は2500mm、高さは3050mmで、床面積は約11.82㎡。2基連結することで床面積を32.88㎡に拡張可能だ。電気、センサリング機器などをインタージョイント層に集中化し、床内部、設備などの維持・管理・更新を容易にしたほか、発電、集熱された太陽エネルギーで暖房し、室温を維持する。また、換気量の最適化によるエネルギーと熱ロスを削減するデマンド換気システムを採用した。
 実証実験の想定環境は、年平均気温マイナス10.4度、最低気温マイナス45.3度、最大瞬間風速61.2mなど。構造物の柔軟な拡張・縮小、エネルギー利用の最適化、センサーを使ったモニタリングの検証などを行う。
 実証実験によって得られた知見をもとに、JAXA、ミサワホーム、ミサワホーム総合研究所は地上における未来志向の住宅や、月面の有人基地への展開を目指していく方針だ。

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