人は明るさで体感温度が変わる | 建設通信新聞Digital

5月7日 火曜日

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人は明るさで体感温度が変わる

 11月7日に開かれた橋本総業の第119回HAT「設備フォーラム」で、同志社大学理工学部インテリジェント情報工学科の三木光範教授は「空調・照明連動制御によるWELL BLDG」をテーマに講演した。この中で同教授は「色温度の違いにより2度程度の影響を確認」したことを紹介した。これにより、「涼しくしたい」という時には、色温度を高くすることで、室温を下げなくても、涼しさが体感として得られるという。
 色温度とはK(ケルビン)という単位で、光源が発する色をいう。色温度が高いほど寒色、低いほど暖色になる。照らされる場所の明るさを示す照度(lx=ルックス)とは異なる。同一仕様・機能の部屋を2つ用意し、色温度が低い部屋と高い部屋を移動して、どちらの部屋が暖かく、どちらの部屋が涼しく感じるかという実験では、温度差が2度までは、色温度の変化で影響があった。
 照明と空調の制御については、「涼しくしたい」と思った場合は、色温度を高くする。それでもまだ涼しくしたいという場合は、0.5度だけ室温を下げるとともに、色温度を低くする。なおも「涼しくしたい」場合は色温度を上げるという仕組みだ。「暖かくしたい」という場合は、この反対のことをすればよい。
 18歳から24歳までの大学生20人による「涼暖感操作実験」(実験時期は8月29日~9月3日)では、平均64.3%で「色温度の影響あり」という結果が出た。実験は30分の「温度順応」時間を経た後、実験室に移動。色温度、設定温度を変更しながら繰り返し行われた。このことから「照明と空調の統合制御によって、涼暖感の制御が可能」ということが分かった。
 また、床から天井を照らす「フロアアップライト」によって快適性が向上すること、デイスプレイを使った窓の代替物(疑似窓)を設置することで、集中力が低下せず、室内の印象も向上することも分かった。
 これらのことから、WELL BLDG創出のためには、執務者が好む環境を生み出す「複合環境の可変性が重要」であるとし、個人ごとのパーソナル環境を創り出すための、人の心理や生理空間をも考慮した6次元空間が必要であり、そのための技術として、ゆらぎ制御やスケジュール制御、ICT技術との融合、モバイル端末での操作・見える化、認知メカニズムによる良い意味での「ごまかし」が求められるとした。