【国土交通省】気候変動踏まえた下水道浸水対策を検討 効率的なハード整備など取りまとめへ | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【国土交通省】気候変動踏まえた下水道浸水対策を検討 効率的なハード整備など取りまとめへ

 国土交通省は、近年の災害で内水氾濫が多数発生していることを受け、下水道分野で気候変動を踏まえた浸水対策の検討を始めた。2020年5月ごろに取りまとめる。気候変動によって降雨強度の増加や降雨パターンの変化が今後見込まれており、事業計画や下水道施設耐水化における外力の設定方法、早期の安全度向上に向けた効率的・効果的なハード整備、まちづくりとの連携によるリスク軽減手法などが検討項目となる。
 内水氾濫は、18年7月の西日本豪雨で19道府県88市町村の約1万5000戸が浸水した。台風19号では、15都県140市区町村の約3万戸が浸水している。気候変動に伴って内水氾濫のリスクが増大していることから、新たな対策を検討するため、「気候変動を踏まえた都市浸水対策に関する検討会」(委員長・古米弘明東大大学院工学系研究科付属水環境工学研究センター教授)を18日に立ち上げた。
 初会合で国交省の植松龍二下水道部長は、「18年7月の豪雨を踏まえ、防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策で雨水施設整備、下水道施設の耐震化が一部位置付けられていたが、台風19号の甚大な被害を踏まえ、改めてしっかり検証し、今後の対策を議論いただきたい」と話した。
 外力設定の方法については、10月に提言をまとめた国交省の「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」が、気候変動に伴う降雨量や洪水発生頻度の変化を試算した手法を下水道でも取り入れることが妥当かどうかを議論した。
 台風19号で下水道処理場が17カ所浸水したことから、施設の耐水化も検討課題とする。国交省は、対策を実施していない施設で着実に整備するため、10年程度の目標年次を明らかにしたロードマップを作成する必要性を示した。
 国交省が西日本豪雨で被災した自治体に対して実施したアンケートの結果によると、内水氾濫による浸水が発生した約1万5000戸の約9割が、下水道整備が途上の地区だった。自治体によって財政力や職員数に差があるため、効率的・効果的なハード整備による早期の安全度向上を検討する。

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