【社員に考えるゆとりを】建設技術研究所大阪本社の働き方改革 効率化のカギを握るRPAとは | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【社員に考えるゆとりを】建設技術研究所大阪本社の働き方改革 効率化のカギを握るRPAとは

 2019年4月に施行された働き方改革関連法により、大企業を対象とした残業時間の上限規制が始まった。20年度からは中小企業(資本金5000万円以下または従業員数100人以下)にも適用され、長時間労働に対する規制が一層強化される。担い手確保に官民挙げて動き始めた建設産業界はいま、残業時間の削減や業務の効率化に否応なく取り組むことを迫られている。その大きな流れにいち早く飛び込み、課題解決に独自に取り組む「ハタカク=働き方改革」への対応や動きを紹介する。

 建設技術研究所大阪本社には約283人の技術系職員が所属している。大勢のスタッフを擁する理由の1つは近畿2府4県のみならず中国地方5県、四国地方4県にまたがる管轄エリアの広さにある。それだけに「移動に時間がかかるのが昔から悩みの種の1つだった」と木内啓大阪本社長は説明する。こうした背景もあって、大阪本社ではサテライトオフィスの導入が進んだ。現在は管内に6カ所用意、うち2カ所(岡山と高松)には社員が常駐している。在宅勤務への対応はもちろん、モバイルパソコンの配布率も技術系社員だけで8割に上る。
 社員個々の事情にあわせた「限定正社員」制度の普及も進む。残業のない時間限定もあれば、転勤のない勤務地限定のパターンもある。「特に時間限定は大阪本社で普及した。子育て世代の女性社員に多く利用されている」と大阪本社の澤田典靖総務部部長は説明する。
 BIM/CIMの普及を始め、業務への取り組み方自体が大きく変わりつつある中「チームプレーが前提となり効率最優先となった結果、個人がじっくりと考える時間までも減ってしまったかもしれない。でも提案に後ひと工夫の余地が欲しい。だからこそ考えるためのゆとりをつくってあげたい」と木内本社長。移動負担だけでなく事務作業の負担減、社内の会議やミーティングなどもなるべく短くするよう指導していると言う。

スタンディングテーブルを使い 打ち合わせ

 その一環で大阪本社情報部ではモニターを備えたスタンディングテーブルを2019年度から導入した。会議の終了時間もあらかじめ決めてから始める。スタンディングテーブルについて「漫然と会議をすることがなくなり、時間の使い方に対する意識が変わってきた」と同部の中田隆史部長は説明する。
 同社がいま、業務効率化のかぎを握る技術に位置づけているのがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)だ。ことし4月に本社技術本部内に「RPAヘルプデスク」を開設するなど全社を挙げた取り組みが進む中、「大阪が先鞭を付けた事例もある」と木内本社長は話す。
 プロポーザルなどの公告情報をメールで社内の担当部署に配信する作業をRPAで自動化、社員の負担軽減を実現した。「こうした取り組みがいずれ社内全体の効率化につながれば」と、本社広報室の松田光弘室長も今後の「水平展開」に期待を寄せる。
 ここ数年若手中心に積極的な人材採用を図った結果、大阪本社のスペースは手狭になりつつあるという。一方で大阪はいま、オフィスビルの空きが少ないことから「フリーアドレス導入とともに執務環境改善は今後の大きな課題の1つ」(木内本社長)だ。

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