【異常過熱個所を漏れなく発見!】関電工が異常を検知するウエアラブルシステム「サーモMR」を開発 | 建設通信新聞Digital

5月9日 木曜日

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【異常過熱個所を漏れなく発見!】関電工が異常を検知するウエアラブルシステム「サーモMR」を開発

 関電工は、点検・保守業務時に異常過熱個所を漏れなく発見するため、赤外線カメラとMR(複合現実)スマートグラスを組み合わせ、熱画像温度分布とアラート機能による警告音によって異常を検知するウエアラブルシステム「サーモMR」を開発した。頭部に装着するメガネ型のMRグラスに、位置情報などの情報を3次元で表示することから、手元を空けたままで、同時に複数の情報を認識できることが最大の特徴。また、MRグラス上に温度分布がダイレクトに表示され、アラートの設定やネットワークによるデータの保存、報告書作成もスムーズにできる。

MRグラスでみたイメージ

 今後、現場での実証を重ね、現場の意見を反映するなどの改良を加え、1年以内に現場での本格運用を目指す。
 電気設備の不具合個所では異常過熱が生じることがあり、点検・保守業務での確認項目の目安になっている。従来の点検などでは、専用の装置(サーモ測定器)を手に持ち、対象物の温度を測定するため、盤扉の開閉やパネル取り外しの際に装置を手放し、作業する必要があった。また、既存構築物が視界を妨げ、異常過熱を見落とす可能性もあった。
 こうした従来技術の問題点を解決し、点検・保守業務を効率化するとともに品質の向上を目的にサーモMRを開発した。MRグラスは、日本マイクロソフトの「HoloLens」を使い、システムはポケット・クエリーズ(東京都渋谷区、佐々木宣彦代表取締役)と共同で開発した。
 サーモMRは、視線方向の物体温度を直接視認でき、過熱警告を音と表示で知らせる。手が空くため、移動時の安全を確保するとともに扉開閉などの作業ができる。また、無線通信機能によって、現場と事務所がデータを共有でき、報告書の作成を効率化する。
 MR映像は、現実視界を遮りすぎないように、指の動きや音声認識によって、サーモ画面の表示サイズを変更できる。温度範囲は140度からマイナス10度の範囲で設定が可能。静止画と動画の撮影は「場所」と「点検」の2種類で行い、グラスに保存する撮影データをパソコンに取り込んで巡視報告書を作成する。
 サーモMRは、2019年12月に特許出願をした。同社は今回開発したシステムのほかにも、MRグラスを使う測定支援などの研究開発を進めている。「目に見えないものを可視化して現場に生かす」(戦略技術開発本部)をコンセプトに、大学や他業種の企業との連携を強め、IT機器の活用で現場作業の負担を軽減していく方針。
 
 
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