【三井住友建設】「ロボタラス」導入で生産性向上 鉄筋の配置・結束作業を自動化 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【三井住友建設】「ロボタラス」導入で生産性向上 鉄筋の配置・結束作業を自動化

 建設業では、就業人口の減少、高齢化が進行する中で、工事現場の生産性向上による省人化・効率化が喫緊の課題となっている。三井住友建設は、ロボットアームを使った鉄筋組立自動化システム「ロボタラス」を同社三田川PC工場(佐賀県吉野ケ里町)で製造する鉄道構造物の軌道スラブの鉄筋配置と結束作業に導入し、生産性の向上を図っている。

鉄筋配置作業


 同工場では、軌道スラブを約1万2000枚製造しており、作業員約20人が鉄筋組立作業(供給・配置・結束)を手作業で行っている。形状が同じ軌道スラブの鉄筋組立は単純作業を繰り返すため、担い手不足の解消と作業負担の軽減に着目し、ことし1月からシステムの本格稼働を開始した。約1万2000枚のうち、約100枚をシステムで製造する。工事名称は「九州新幹線(西九州)、武雄・大村間軌道スラブ製作運搬」(発注者=鉄道建設・運輸施設整備支援機構九州新幹線建設局)。

 鉄筋組立作業は、下側の格子筋(下筋)と上側の格子筋(上筋)を分けて、順次鉄筋架台の上に鉄筋を供給・配置した後、結束する。システムは、機械の腕「ロボットアーム」の先端に鉄筋を供給・配置できる「鉄筋保持治具」と、結束できる「鉄筋結束機」を接続しプログラミングすることで、鉄筋組立作業を自動で行う。

 作業エリアは、ロボットが鉄筋を組み立てる自動鉄筋組立エリアと、2人の作業員が作業する補助作業エリアに分けている。プログラミングされたロボットは、アーム先端部で鉄筋の長短を合わせた3種類の鉄筋保持治具と市販の鉄筋結束機の自動着脱を行い、鉄筋の配置と結束作業を行う。2人の作業員は鉄筋供給機への補充と鉄筋結束機へのワイヤー充填など補助作業だけとなる。

 スラブ製作にかかる時間は1枚当たり約100分。省人化・省力化の実現により、作業員1人当たりの生産性が50%向上するという。軌道スラブの製造完了は3月まで。
 今後は、システムのさらなる開発を進めるとともに、同社プレキャスト(PCa)工場の製造ラインへの導入も目指し、高速道路の大規模更新事業や超高層マンションなどの主要構造体に使われるPCa部材製造にも積極的に活用していく方針だ。

 同社の長谷川弘明土木本部土木技術部長は「ノウハウをつかんできたので、今後の開発自体の時間は非常に短くなる。違うものを開発する場合でも、いまのシステムを加工するだけで済む。対応は十分に可能だ」と手応えを口にしている。

鉄筋結束作業

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