奥村組は30日、トンネルの補修・補強工事に使う「曲面天井用研掃システム」を開発し、実大模擬トンネルの性能確認実験で有効性を確認したと発表した。従来の人力作業に比べて3倍以上の速さで施工ができ、作業時に発生する粉じんなどの飛散も抑止され、作業効率の向上と作業環境の改善を確認できたという。また、研掃の取り残しがなく研掃面の品質向上も確認できた。今後、リニューアル工事で作業環境の改善や作業効率の向上を図る施工技術として発注者に積極的に提案していく。
システムは、「研削ノズルを研掃位置に正確、迅速に移動させる『研掃装置』」「研削ノズルから研削材と高圧の圧縮空気の混合物を噴射させると同時に、発生した粉じんや微小破片物をバキューム吸引する『バキュームブラスト装置』」「研掃装置類を運搬でき、高所作業車として利用する『荷台昇降車』」「発電機やコンプレッサーなどの『付帯装置』」の4つの装置で構成している。
研掃装置は、2台の研削ノズルを備えた研掃ヘッドを走行方向(トンネル軸方向)、横行方向(トンネル円周方向)、上下方向に移動させることができ、研削ノズル位置を制御することによって、この範囲内の研掃作業を自動運転で行うことができる。また、荷台昇降車により道路面から最大7.5mの高さまで施工ができ、作業床をそのままの高さで移動させることもできる。これらにより、人力による研掃方法に比べ作業環境、作業効率が大幅に改善するとともに、研掃装置は地上から操作することが可能で、高所作業が少なくなるため安全性も向上する。
性能確認実験は、日本建設機械施工協会施工技術総合研究所の実大模擬トンネル(半径5.6m、スプリングライン1.51m)で曲面状の天井コンクリート表面の研掃作業にシステムを適用し実施した。
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