【記者座談会】新型コロナ禍の安全大会/日建連のロボット調査 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【記者座談会】新型コロナ禍の安全大会/日建連のロボット調査

A 6月は、通常なら安全大会のシーズンだけど、ことしはどういう状況かな。
B 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を踏まえた全国安全週間の対応を4月に災防団体に通知し、安全大会で経営トップの安全所信表明や安全パトロールによる職場の総点検は「3密」を避け、感染防止対策に十分留意しながら取り組むことを求めた。3密を避ける対応例として、大会などの開催中止か延期、参加者の限定、テレビ会議の積極的活用を示し、安全大会の扱いは企業判断に任せた。
C 労働局の表彰式・伝達式や行政機関の安全パトロールは中止としていたが、5日の災防団体への通知で「十分な対策が可能な場合に限り、開催して差し支えない」と対応を変更した。
D 安全大会は、大きな会場を使うことが多く、あるゼネコンの担当者は「密室だし、参加者は多い。どうしても3密になる」と頭を抱えていた。会場の予約の関係もあり、厚労省の通知よりも前に中止を決めたゼネコンもあった。多くのゼネコンが中止や延期という対応になっている。ただ、安全大会を機に働き方改革の取り組み方針などを伝えるゼネコンも多く、五洋建設では安全大会は中止したが、労務安全協議会連合会の総会をリモートで開催し、安全衛生目標などの方針を伝えた。
E 地域の建設会社の中には、テレビ会議システムを使って東京と大阪が合同で開催した会社もある。ある大手設備会社でも、本店のメイン会場の様子をテレビ会議システムで配信して分散開催した。工事の安全のためには重要なイベントなので、これからも工夫しながら開催の道を探ってほしい。

五洋建設がリモートで開いた労安協連合会の総会

◆デジタルニューディール加速へ基準必要

A ところで、日本建設業連合会が「建設業のためのロボットに関する調査」をまとめた。
F 建設業では、一品受注生産という性質上、工場と同じようなロボットの適用は難しいとされてきたが、センシング技術やAI(人工知能)を始めとする技術革新で工事現場のロボット化に対する可能性や見方が変化し、各社が技術開発を急いでいる。画像認識技術や3次元空間情報を取得する光学式のレーザーセンサー、ステレオカメラなどのセンシング技術と自動制御技術を掛け合わせたものが多い。
G ただ、建設現場に関わる現在の法令・規制は、ロボットの活用を想定してつくられていない。このため、工事現場でロボットや自動化技術を活用する場合は、その都度、労働基準監督署などの関係機関と協議し、仕様、安全性などを考慮した現場ごとの独自ルールを設定しなければならない。例えば、あるゼネコンが多関節の溶接ロボットを開発したが、現場に適用しようとしたら、ロボットのアームが届く範囲に人が立ち入らないような対策が発注者から求められた。このため、ロボットの作業範囲に人が立ち入らないよう、周囲をパネルで囲わなければならなくなった。本来は生産性を上げるための技術だが、法規制が十分に整備されていないことで、本来の力を発揮できない可能性がある。
F ロボットとともに働く建設用ロボットを安心して使える法令・基準を整備してほしいものだ。「まだロボットが普及していないから」という論理もあるだろうが、“卵が先か鶏が先か”という議論で、基準を整備することで進む技術開発もある。デジタルニューディールを加速させるため、建設業と関係省庁が一丸となって取り組むべき課題だ。

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