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【科学技術に自然を着せる】日本芸術院賞受賞の藤森照信氏が独自の”スタイル”を築くまで

最終更新 | 2020/07/08 18:02

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 建築史家・建築家の藤森照信氏が「科学技術に自然を着せる」建築の集大成と話す「ラ コリーナ近江八幡 草屋根」(2015年竣工)で、日本芸術院賞を受賞した。「自然を着せる」建築は、建築家としてのデビュー作『神長官守矢史料館』、自邸の『タンポポハウス』、作家の故赤瀬川原平邸の『ニラハウス』などいくつか設計してきたが、「失敗の歴史だった」と笑う。課題だったのは、技術と美学の2つの側面。「人間のつくる建築に神様がつくったとされる自然を組み込むのは至難の業」とその難しさを表現する。試行錯誤の末に「ラ コリーナ近江八幡 草屋根」で2つの課題をほぼ解決し、自然との一体化が達成できたのではないかと述べる。

「ラ コリーナ近江八幡 草屋根」で日本芸術院賞受賞
建築史家・建築家 藤森 照信氏


◆社員が草屋根の自然をコントロール
 日本芸術院は授賞理由として、「建築の庭、環境についての設計が柱、梁、家具、一木一草にいたるまで藤森氏の細かい心遣いがなされ、彼の思想的芸術的問いかけの優れた成果が実現している作品である」などとしている。藤森氏は「建築界の賞はいただいたことはあるが、それ以外の芸術的な賞は数少ないのでとてもうれしく思っている」と喜ぶ。

 いまの時期は、草屋根に使っている高麗芝が鮮やかな緑に輝く季節だ。まばゆい草屋根だが、建築に組み込んだ植物だけにそのコントロールが難しい。問題は雑草だ。雑草がこれだけ繁殖するのは文明国で日本くらいだという。

 「コントロールの度合いが微妙で難しい。コントロールし過ぎると自然の力がなくなるが、しないと見映えの悪い藪になってしまう。適切な維持管理が必要になる。そこは(施主の)たねやさんの強い意志があるからうまくいっている」

 たねやはお菓子の原料を自家栽培する農園を持っており、グループ会社のたねや農藝が管理している。その栽培ノウハウが草屋根の管理にしっかりと生かされており、社員が草屋根の雑草を処理したり芝を刈ったりしているのだ。

 藤森氏は「これまでの経験上、どうしてもこの維持管理は必要で、たねやさんの決意で成功しているといえる」と感謝の気持ちを述べる。

◆「断られるかも」との思いも
 設計に当たっては、たねやグループCEOでたねや社長の山本昌仁氏から2つのコンセプトが提示された。棚田と緑の丘である。山本氏がデザイン監修を依頼したイタリアの建築家、ミケーレ・デ・ルッキ氏が現地を見て決めたコンセプトだという。

 藤森氏は提案の経過をこう話す。
 「コンセプトをいただいてからがわたしの出番で、これまでの経験を踏まえて草屋根などの設計を提案した。棚田は庭に、緑の丘は草屋根にそれぞれイメージしている。屋根の形状は、背景にある地元の神様の山、八幡山の景観を損なわないようデザインした。会社のこと、山本社長の心意気もよくわかっていたが、世の中にまったくない建築と言っていいものなので、断られるかもしれないという気持ちもあった。正直、採否は五分五分だと思っていた。それで案を送ったら直ぐに一言、これでいきます、と言われた」

 近江商人の経営哲学の三方良しは「売り手によし、買い手によし、世間によし」。商人の心意気に初めて触れた藤森氏は、山本社長らたねやグループがこれを本気で考えていて、その思想と倫理観を強く実感したという。

 オープン当日は小雨が降っていた。その時にちょっと不思議なことが起きた。
 「山本社長があいさつに立った時、驚いたことに雲の合間から社長のところだけ光がさしこんできた。こんなすごいことがあるんだと思い、隣りにいらした社長のお母様(大女将)に話しかけたら、『日ごろから精進してますさかい』と微笑んでいた。偶然を呼び寄せる力というものを感じた」

この時期は屋根の高麗芝が鮮やかな緑になる。背後に見えるのが八幡山

◆「藤森スタイル」確立の契機
 新刊『建築が人にはたらきかけること』(平凡社「のこす言葉」シリーズ)のなかで、『神長官守矢史料館』で建築家としてデビューするまでの逡巡に少し触れており、伝統でもモダニズムでもない建築をつくりたいと行き詰まっていた時、偶然目にした建築家、吉阪隆正氏の文章が突破口になった。一番大きな悩みは、いままで現代建築を批評してきた歴史家としての自分が、建築を設計することへの周囲からのお手並み拝見という眼差しだった。

 それが吉阪氏の文章を読んで、ものをつくるときは余計なことは考えずに、周りの評価は気にせずにやりなさいと読めた。そして文章と一緒に、入口があるだけの中国の草原に建つ小さな泥の家の描写があって、これが自分の求めているものだと思ったという。加えて1986年に発足した路上観察学会という好奇心旺盛な活動に参加したこともあって、自身の建築家としての方向が決まり、「科学技術に自然を着せる」という現在の「藤森スタイル」が確立した。

 著書で「建築は社会の記憶の器」という藤森氏にこれからつくりたい建築を聞くと、「野球と同じで来た球を打つということ」と笑う。

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