【記者座談会】熊本の豪雨被害/社長安全パトロール | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【記者座談会】熊本の豪雨被害/社長安全パトロール

A 熊本県南部を襲った豪雨は、50人以上の犠牲者を出す大災害になった。現地はどのような様子だろう。
B 一級河川の球磨川が氾濫し、流域の人吉市を中心に、熊本県内各地で土砂崩れや浸水被害が発生した。
C 芦北町でも佐敷川があふれ、道の駅「芦北でこぽん」の近隣に住む親戚は家屋が浸水する被害を受けた。被災状況を伝える多くの動画や写真にはショックを受けたよ。
D 球磨川は「日本三大急流」として知られ、過去にも水害に見舞われている。人吉市に温泉旅行に行ったことがあるけど、180cmの自分の身長のさらに上に、過去の浸水高さの印が付けられ、肝をつぶしたのを覚えている。
A 流域では川辺川ダムの建設が中止になっている。昨年東日本を襲った台風19号では八ッ場ダムが機能しただけに、もしダムがあれば、という思いにどうしても駆られてしまう。
B 中止を決めた地元の思いは尊重したい。ただ、代替の「ダムによらない治水」は、ダム中止から12年経っても抜本策を打ち出せずにいた。結果責任が求められる政治において、不作為と批判されることになるかも知れない。
A 現地では建設業が応急復旧で汗を流しているね。
C 被災地の固定電話は不通となっており、熊本県建設業協会の人吉支部、芦北支部も連絡が取れない状況だ。現場は大変だろうが、安全に気を付けて頑張ってほしい。
A 梅雨前線は九州北部、中国・関西、そして中部の岐阜や長野へと進み被害の範囲を広げている。
D 福岡市内も7日夜はひどい雨で眠れなかった。豪雨災害の恐ろしさを再認識した。

堤防決壊の応急復旧現場。直轄区間の球磨川で約30mにわたって1カ所が決壊し、11カ所で越水・溢水(いっすい)が発生した (提供・国土交通省九州地方整備局)

◆感染防止と熱中症対策の両立が不可欠

A ところで1日から7日までの全国安全週間にあわせ、ゼネコン各社の社長が安全パトロールを実施した。
E 今回の最大のテーマは、やはり新型コロナウイルスの感染防止対策と、熱中症対策の両立だ。1日の首都圏は雨で、フェースガードをして現場を回ると、前が見えにくくなるし、風でフェースガードが変形してかなり気になる状態だった。
F 大手ゼネコンの現場では、現場入場ゲートに靴底消毒と検温、手消毒、顔認証、建設キャリアアップシステムのタッチをするコーナーを設け、発熱者用の陰圧室も設置するなど徹底していた。現場事務所の階段登り口に専門の消毒員が立って全員の手消毒を実施し、食堂の利用も2交代制にして交代時には机・いすを消毒していた。特に専門の消毒員の配置など、かなり経費が掛かっていたけど、「現場経費で何とかやりくりするしかない」と言っていた。
G 事務所などは消毒を徹底する一方、熱中症対策も必要で、屋外の現場では3密でなければマスクやフェースガードを外しても良いことにし、全作業員に飲料用のボトルを配るなどで対応している。作業員に実施してもらうことが多く、現場事務所も頭を悩ませていた。
E 大林組は、オンラインでパトロールを実施した。工事概要説明などに人形ロボット「Pepper」を導入するなど、最新技術を積極的に導入している現場だけあって、パトロールもスムーズに進行していた。現場ではポイントごとに社員がカメラを持っていて、本社からの指示で適宜、カメラを切り替え、映像と音声で説明していたけど、機器の扱いや段取りなどをかなり習熟する必要がありそうだ。
F 経済活動と感染防止を両立するウィズ・コロナの現状は、ワクチンが完成するまで続くだろう。工夫しながら、対応するしかなさそうだ。

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