【温度変化で発電】東北大学が常温発電システム開発 長期間メンテ不要でセンサーなどへ活用 | 建設通信新聞Digital

5月14日 火曜日

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【温度変化で発電】東北大学が常温発電システム開発 長期間メンテ不要でセンサーなどへ活用

 東北大学マイクロシステム融合研究開発センターと同大大学院工学研究科機械機能創成専攻の小野崇人教授の研究グループは、太陽光発電が利用できない場所でも温度変化で発電する「熱電システム」を開発した。バッテリーがない環境でのIoT(モノのインターネット)センサーの動作に成功した。将来的には防災やセキュリティー、構造物のモニタリングなど、長期間にわたって電池交換などのメンテナンスが不要なセンサー・システムへの応用を想定している。

常温発電システムの概要


 IoT技術が普及する中で、多様で膨大な数のセンサーへのエネルギー供給が課題となっている。明るい場所なら太陽光発電でバッテリーに給電できるものの、暗い場所などでは作動しないため、温度差を使った発電システムの研究が進んでいる。ただ、熱電発電は温度差を生み出すために高温熱源が必要で、利用できる条件が限られていた。

 今回、開発したシステムは、熱電発電素子と蓄電部、放熱部で構成する。熱電発電素子は、複数の熱電素子を量産可能なめっきで作成し、基板で挟み込んだ構造をしている。熱電発電素子の片面は蓄電部に、別の片面は放熱部にそれぞれ接触し、温度差が発生した際に熱が蓄熱部に吸収されたり、蓄熱部から放熱することで発電する。

 原理実証用の常温発電ユニットを建物内部に設置して実験した結果、朝や夕方など大きく気温が変化する際に大きな発電量を記録した。発電エネルギーは蓄電部に蓄え、必要な時にセンサーや演算処理部(CPU)、無線ユニットに給電し、センサーで取得した信号を無線で送信できる。プロトタイプでは、蓄電のためのキャパシター、温度センサー、CPU、無線ユニットを組み込み、バッテリーを使わず、長期間にわたって温度センサーからのデータを外部に送信することに成功した。

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