【建築】あまりスマートな社会にならないで 「場所の歴史」取り入れる建築家の田根剛氏 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【建築】あまりスマートな社会にならないで 「場所の歴史」取り入れる建築家の田根剛氏

 「無駄のないスマートな社会は停滞する。あまりスマートなだけの社会にはならないでほしい」。フランスを中心に活動する建築家の田根剛氏は、無駄を嫌う社会状況にそう警鐘を鳴らす。共通の価値観を持つ人間を集めれば「洗練」が進むが、異なる価値観や知識との出会いにこそ誰も見たことのない「クリエーション」が生まれるという。
 そんな田根氏が設計で取り入れるのは「場所の歴史」だ。「土地があって人の生活がある」と指摘し、古代から現代に至る歴史に従った建築を提案し続けている。その参照先は縄文・弥生時代にまでさかのぼることもある。その背景にあるのは、「パリが古い街を残すため、もともとは建築の未来を目指したはずの近代建築を破壊した」ことへの危機感だ。
 「未来志向は限界を迎え、古い時代へ逆行している」と指摘し、単純な過去への回帰ではない歴史の文脈に寄り添う重要性を強調する。その上で、新たな建築は「時間、空間、場所、記憶という4つの要素の中心にある」と語る。

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