【記者座談会】2021年度予算概算要求/コロナ禍の行政・団体意見交換 | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

公式ブログ

【記者座談会】2021年度予算概算要求/コロナ禍の行政・団体意見交換

A 2021年度予算の概算要求が例年より1カ月遅れでまとまったが、その状況は。
B 財務省によると、一般会計の概算要求総額は過去最大の105兆4071億円だった。要求総額が100兆円を上回るのは7年連続で、3年連続して過去最大だ。
C 今回の概算要求では、新型コロナウイルス対策などの「緊要な経費」を別枠扱いとし、上限を設けなかった。社会経済への影響が見通せず、必要な対策の予測が難しいことを踏まえた。緊要な経費のうち、金額を示したのは1兆9185億円にとどまり、残りは金額を示さない「事項要求」が多い。この事項要求には「3か年緊急対策後の激甚化・頻発化する自然災害への対応」の要望がある。
A 建設産業界が注目する公共事業関係費はどうなっているのかな。
D 国土交通省は5兆2578億円、農林水産省が8464億円、環境省が454億円など、一般会計の公共事業関係費を計上している6府省の合計で6兆2981億円を要求している。内閣官房のまとめで13府省庁が計上した国土強靱化関係予算でみると、要求額は4兆4146億円で、この中には施設整備費も含んでいる。
B 3か年緊急対策後の激甚化・頻発化する自然災害への対応に必要な緊要な経費の事項要求は、国交、文部科学、厚生労働、農水、環境の5省が要望している。新型コロナ対策や「デジタル庁(仮称)」関係などの事項要求が多く、今後の予算編成過程で予算額が膨張するのは必至といえる。概算要求から公共事業関係費をどの程度積み上げることができるのか、年末の予算案が注目だね。

オンラインで実施した2020年度の日本建設業連合会の意見交換会

◆リモートではシナリオどおりのやり取りに

A コロナ禍で行政と業界との意見交換会などの会議が対面からリモートになっているけど、不都合はないのかな。
E 日本建設業連合会の意見交換会の時は、出席する各社の社長が自社の支店や現場、地域の有力民間発注者にあいさつ回りをしていた。全国建設業協会のブロック会議でも、大なり小なり、参加するゼネコンの社長はそういうスケジュールを組んでいる。リモートになると、地方回りができなくなるので少し困るかもしれない。
F 会議がリモートになると、どうしてもシナリオどおりのやり取りに終始しがち。対面の意見交換でも大まかなシナリオはあるのだけど、予定調和でない部分やマイクを通さない地声でのやり取りというのもある。開催前後のちょっとした時間でも、会長と国交省地方整備局長が言葉を交わしていた。そういう話が意外と大事だったりする。懇親会の時には、意見交換会での発言の補足や詳しい説明を聞く生のやり取りができるので、ある意味本会議より重要なのかも。
E 意見交換会でのやりとり以上に、リモートでは懇親会が必然的になくなることの方が痛い。意見交換の場は公式見解とならざるを得ないが、その真意を聞き出す、あるいは確かめることは懇親会の場だからこそできた。発言のトーンや表情の機微から察することも多い。それは発言者だけでなく、発言を聞いている時の表情や仕草からも感じ取ることができる。場の空気感やニュアンスを考えると、やはり対面なりその場にいることの意味合いは大きい。それはわれわれ記者の取材活動にもいえることだが。
G 企業の取材でもコミュニケーションをとるには対面が大切と思う。リモートだと、一方通行を強く感じる。記者会見や取材の内容によって使い分けが必要といえる。

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら