【記者座談会】新規学卒就職者離職状況/全建ブロック会議終了 | 建設通信新聞Digital

5月17日 金曜日

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【記者座談会】新規学卒就職者離職状況/全建ブロック会議終了

A 厚生労働省の新規学卒就職者の離職状況がまとまった。建設業はどうだったかな。
B 2017年3月の卒業者で建設業に就職したのは全体で4万0626人で、就職後3年以内に仕事を辞めたのは1万5199人いる。卒業後3年以内離職率は37.4%となった。なかでも、高卒者は1万4968人の就職に対し、6853人が仕事を辞め、3年以内離職率は前年(16年3月卒)と比べ0.5ポイント増の45.8%だった。離職率が上がったのは5年ぶりで、2人に1人弱が離職する状況が続いている。
C 大卒者は2万0976人が就職し、3年以内に6191人が離職、離職率は1.7ポイント増の29.5%だ。3年ぶりに離職率が高くなったものの、全産業の大卒離職率と比べ、建設業の離職率は低い。
D 問題は、離職率の高さだけでなく、建設産業界が必死になって担い手確保に取り組んでいても、高卒者の建設業への就職者数が減っていることだ。19年3月高卒者の就職者数は1万3961人、18年3月卒の就職者数と比べ247人少なく、2年続けて就職者数が減った。13年3月卒から6年続いた1万4000人台も途絶えた。就職者の定着が困難な状況もほとんど変わっていない中で、人材確保の厳しさが増している。
B 若者は収入だけでなく、仕事と生活の両立を求め、休暇や残業がないなどの労働条件は重視する。建設産業の企業は、担い手確保とその後の職場定着に向け、適正な工期確保などで現場の週休2日制や残業時間削減を、もっと加速する必要があるといえるね。

1カ月にわたった全建地域懇談会・ブロック会議が全日程を終えた。予算抑制圧力に対抗するためには施工余力があることを客観的に証明しなければならない

◆財政審の主張が議論の主役に

A ところで、全国建設業協会(奥村太加典会長)と国土交通省などとの20年度地域懇談会・ブロック会議が10月30日の北海道地区で全日程を終えた。各地を取材してみて、今回の印象は。
E 「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」が20年度に最終年度を迎えることもあって、すべての地区で21年度以降の対応が議論の的となった。一方、国交省は21年度予算の概算要求で、別枠扱いの「緊要な経費」に防災・減災、強靱化対策を盛り込む考えを示した。
F 自然災害に強い国土の形成に向け、受発注者の認識は一致していた。ところが、意見交換会の折り返し点となる10月19日に財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が社会資本に関する「予算規模の量的拡大の抑制」という方針を打ち出し、建設業界には衝撃が走った。
E 中国地区で始まった後半戦からは財政審の主張で持ちきりだった。「足元の建設労働需要がひっ迫している」という曲解が主張の背景にあるだけに、大半の建協幹部が憤りを見せていた。
G 建設業の現状を正しく、より広く理解してもらうには、施工余力が確保されていることを客観的に証明していく必要がある。官民の連携・協働が求められるだろう。
A 建設キャリアアップシステム(CCUS)をめぐる議論はどうだったかな。
E 財政審の主張に主役の座を奪われたけど、前半戦では白熱した議論が繰り広げられた。地域懇談会では関東甲信越のある建協が出捐金の拠出を断固反対したと聞いている。
H 近畿でも加入促進に向けたロードマップの抜本的な見直しを求める声が上がった。いずれにせよ、今後も動向を注視しなければならない。

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