【画期的な施工性】アーマセルジャパンの弾性発泡ゴム断熱材「ArmaFlex」 国内販売本格化 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【画期的な施工性】アーマセルジャパンの弾性発泡ゴム断熱材「ArmaFlex」 国内販売本格化

 断熱材のグローバルメーカー・Armacel(アーマセル)の柔軟弾性発泡ゴム断熱材「ArmaFlex」(アーマフレックス)が、存在感を高めている。柔らかく軽いシート状の断熱材のため、施工性、環境性、安全性などに優れ、建設現場の働き方改革を促す製品として注目される。グラスウールなどの代替製品としても普及している。日本法人のアーマセルジャパン(東京都中央区)は、低価格化を実現した「Armaflex Airduct」(アーマフレックスエアダクト)を発売し、国内での販売を本格化した。

さまざまな管の形状に対応し、 長寿命化に貢献する

 アーマセルは、柔軟弾性発泡ゴム断熱材のパイオニアとして、ルクセンブルクを拠点に世界450カ所に営業拠点、25カ国に工場を置くグローバル企業となる。日本法人は2012年に創設し、本社にはダクト工事業向けのトレーニングセンターも備える。

◆建築の長寿命化に貢献
 アーマフレックスは、ニトリルゴムを基にしたシート状の製品で、水蒸気の浸入を最小限にする「クローズドセル構造」を持つのが特徴だ。工業製品や建築物の断熱・保温・保冷用の素材で、耐水、防火(耐火)、騒音低減などの効果がある。複雑な施工に強みがあり、従来品のようにホコリや繊維を飛散せずに施工できる上、水分の浸入を防ぐため、長期間にわたり配管やダクトの腐食を防ぐ効果がある。

 日本を除く欧米やアジアでは発泡ゴム材の断熱材が普及しており、世界の(発泡ゴム材の)断熱材市場で同社の発泡ゴム材は3割以上を占め、トップシェアを持つ。日本では標準規格がないこともあり、断熱材市場で同社の製品が占める割合は数%にとどまる。安村義彦アーマセルジャパン社長は「冷凍冷蔵庫の配管などで使われているが、一般建築で普及が遅れているのが実情だ。従来の保温断熱材では対応が難しい温度差の環境でも効果を保証できるため、少しずつ引き合いは増えている」と説明する。

安村社長


 アーマフレックスは、米国のエンパイア・ステートビルでも採用され、施工後30年を経た段階でも結露やホコリの問題が確認されず、長期間効果を維持することが実証された。日本でも「100年建築」が標榜され、「建築物の長寿命化を実現する当社の製品が貢献できることは多い」と力を込める。抗菌素材もあり、病院、学校、食品工場などで採用が進んでいる。

◆施工性が大きく改善
 施工面では、軽くて柔らかい素材を使用するため、施工性が大きく改善する。従来のグラスウールやロックウールの施工は高度な専門技術が必要で、「日本の職人のレベルは高いが、その分だけ修行期間が長期に及ぶ。技能者が高齢化する中、技術の継承が課題となっている」と指摘する。

 日本だけでなく世界中で建設業の担い手不足が深刻化する中、カットして貼り付けるだけの画期的な施工性が人手不足の解消に貢献する。高度な技術を持たなくても施工できるため、経験の少ない技能者や技能実習生、女性などの幅広い人材が施工に参加できるようになるからだ。

◆量産化で低価格実現
 例えば断熱材は高所作業が多く、真夏の現場では墜落事故や熱中症などのリスクが高まる。アーマフレックスは軽い素材をカットして貼り付けるため、作業の負荷を軽くし、施工時間を短縮する。さらに海外では、ダクトや配管を工場で製作する段階でアーマフレックスを貼り付け、一体化した上で現場に出荷するのが主流になる。「事前にダクトや配管に取り付けることで省力化と工期短縮につながっている」という。

軽くて柔らかいゴム材を貼り付けることで、 施工性を大きく改善した


 ネックになるのが、日本国内の流通量が限られ、製品の単価が高額なことだ。この問題を解決するため量産化により従来の断熱材と同程度の価格となる「アーマフレックスエアダクト」を9月に発売した。「従来の製品と同じぐらいの価格のため、施工合理化技術と合わせ大きなコストダウンを実現する」と説明する。設計事務所やゼネコンの現場監督など、メリットを理解している人からのリピートも増えている。アーマフレックスを専門に扱う保温施工会社やダクト工事業者も増えつつある。

◆大臣認定を目指す
 一方、断熱用ゴム材を標準化(JIS)するため、3年前から経済産業省の新市場創造型標準化制度を活用し、柔軟弾性発泡ゴム断熱材の標準化を進めてきた。現在、その審査が大詰めを迎えているところだ。「認定を受けることができれば1つのハードルを乗り越えることになる」と考える。順調に進めば20年度内に認定され、引き続き、国土交通省の指定建築材料に関する大臣認定を目指す方針だ。

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