【5G・6G高度化】屋外からの受信電波で屋内エリア化 NTTドコモとAGCが実験で効果確認 | 建設通信新聞Digital

5月11日 土曜日

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【5G・6G高度化】屋外からの受信電波で屋内エリア化 NTTドコモとAGCが実験で効果確認

 NTTドコモとAGCは、第5世代移動通信システム(5G)と6Gの高度化に向け、屋外の基地局アンテナによる屋内のエリア化を実現する「メタサーフェスレンズ」のプロトタイプを開発した。2020年12月にドコモR&Dセンタで実証実験し、窓ガラスを通るミリ波を屋内の特定の場所に集め、屋内での受信電力を向上させることに成功した。

メタサーフェスレンズ(透明化処理前)


 5Gや6Gで利用される高い周波数帯の電波は、現在使われている電波に比べて直進性が高く、減衰しやすい特徴がある。屋外基地局アンテナから発信された電波が建物窓ガラスに到達するまでに減衰し、その微弱な電波が広がらずに屋内に入るため、屋外基地局アンテナで建物内のエリア化が難しかった。

 開発した28ギガヘルツ帯向けメタサーフェスレンズは基板上の小さな素子に複数の形状を持たせ、適切に配置することで窓ガラス全面を通った微弱電波を特定場所に集められる。リピーターやリフレクターなどのエリア改善ツールに電波を集めれば、屋外の基地局アンテナによる建物内のエリア化が可能になる。フィルム形状のため、屋内側から窓ガラスに貼り付けて利用できる。現在使われている周波数に影響を与えないよう設計され、ほかの帯域と並行してミリ波のエリア改善が可能になる。

 実証実験では、屋外からの受信電波が屋内で向上することを確認した。あわせて、複数のリピーターやリフレクターを使い、端末の移動に追従することも視野に入れた焦点位置の制御機能も検証し、単焦点から2焦点に切り替えられることを実証した。AGCの技術を生かし、遮熱性を損なわずにミリ波が透過するガラスとメタサーフェスレンズを組み合わせれば、本来は電波を通さない遮熱ガラスでも屋内でミリ波の受信電力が向上することも確認した。

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