【初年度は上太陽光発電など】資源エネルギー庁 22年4月施行のFIP制度対象区分を制定 | 建設通信新聞Digital

4月19日 金曜日

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【初年度は上太陽光発電など】資源エネルギー庁 22年4月施行のFIP制度対象区分を制定

 固定価格買取制度(FIT制度)で導入を手厚く支援していた再生可能エネルギーの自立に向け、資源エネルギー庁は2022年4月施行の改正再エネ特措法で創設されたFIP(フィード・イン・プレミアム)制度の対象区分を固めた。制度の運用開始初年度となる22年度は、1000kW以上の太陽光発電など一定規模以上の再エネ電源で、FIP制度のみ新規認定し、FIT制度の適用外とする。電力市場への統合を促しながら、発電事業者が投資インセンティブを確保するための支援が始まる。

 エネ庁の調達価格等算定委員会が1月にまとめた「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」に盛り込まれた。エネ庁を所管する経済産業相は、同委員会の意見を尊重して調達価格などを定めると再エネ特措法に規定されており、3月に正式決定した後、省令などを整備する。

 FIP制度は、電力需要に応じて変動する市場価格に一定のプレミアム(割増価格)を上乗せして、発電事業者に買取額を交付する制度。価格が一定のFIT制度はいつ発電しても収入が変わらないが、FIP制度の導入により、市場価格が低い時間帯に蓄えた電力を市場価格が高い時間帯に供給することで、需要の変化に応じたインセンティブ(優遇措置)が得られるようになる。エネ庁は、再エネをFIT制度から自立させ、主力電源化するための途中経過措置とFIP制度を位置付けている。

 同委員会は意見の中で、20年6月時点の導入量が再エネの中で最多の5700万kWとなっている太陽光発電について、FIP制度へ早期に移行し、電力市場に統合させることが適切との方向性を打ち出した。

 こうした観点から、FIP制度のみ新規認定する対象区分は、22年度に1000kW以上とする。自家消費型の地域活用要件を課していない50kW以上1000kW未満は、発電事業者がFIP制度とFIT制度の選択を可能にする。

 太陽光発電の基準価格(FIP価格)は、1000kW以上を入札制で決める。50kW以上1000kW未満は入札制にしないで、1kW時当たり10円とする。太陽光発電のほか、地熱発電、中小水力発電、バイオマス発電も一定規模以上は22年度からFIP制度の適用を始める。

■来年度FIT制度固まる
 調達価格等算定委員会は意見の中で、21年度のFIT制度のあり方も示した。太陽光発電の調達価格を入札制で決める範囲は、21年度と同じ250kW以上に据え置く。入札の実施に当たっては、発電事業者の価格予見性を高めるため、非公表だった上限価格を21年度から事前公表する。供給価格上限価格は、21年度1回目の入札を11円、2回目を10.75円、3回目を10.5円、4回目を10.25円に設定する。

 入札に参加できる機会を増やす観点から、2回だった年間の入札実施回数は4回に増加する。募集容量は、1回目の入札を208メガワットとし、2-4回目は208メガワットを基準としつつ、1回目の入札結果を踏まえて機動的に見直す。

 発電コストの低減を踏まえ、21年度に適用する1kW時当たりの調達価格は、10kW未満を前年度比2円低下の19円、10kW以上50kW未満を1円低下の12円、50kW以上250kW未満を1円低下の11円とする。

 四方を海に囲まれる日本にとって導入ポテンシャルが高く、再エネ主力電源化のかぎと期待される風力発電の調達価格は、陸上風力発電の新設で21年度から入札制を適用する。対象範囲は250kW以上。21年度の入札実施回数は1回で、1ギガワットを募集する。風力発電の入札制も供給価格上限額を事前公表し、21年度に17円とする。

 固定の調達価格は、250kW未満の陸上風力発電(新設)が1円低下の17円、陸上風力発電(リプレース)が1円低下の15円となる。



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