【記者座談会】都道府県建協・自治体が意見交換/CM市場調査 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【記者座談会】都道府県建協・自治体が意見交換/CM市場調査

A 2020年度3次補正予算の成立を受けて公共工事の円滑な施工が求められる中、47都道府県建設業協会と地方自治体が20年度内にも意見交換して情報共有を図ることになった。

B 今回の補正予算には「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の初年度分が盛り込まれている。また、経済対策の側面を持つことから中小規模の工事が多く発注されるとみられる。全国中小建設業協会の加盟団体を含め、地域の建設業団体と公共発注の半分以上を担う地方自治体が円滑施工の実現に向けて認識を一致させることの意義は大きい。

A 国土交通省が都道府県などに意見交換会の開催を直接要請しているところにもこの取り組みに対する本気度がうかがえるね。

C 業界団体もその点は評価している。ある幹部が「業界側から(意見交換会の)開催を申し入れてはあまり意味がない。自治体側が(円滑施工のために)業界の声を聞きたいという姿勢でなければ、施工体制の確保にはつながらない」と話すように、受発注者が契約の双務性という大原則に立ち返った対等な立場で施工体制確保について議論することが重要だろう。

A 開催時期の目安は。

C 2、3月を想定している。補正予算と21年度予算が一体的に執行される以上、できるだけ早く意見交換会を開く必要がある。発注することが目的化してしまって適切な積算や工期設定が二の次になってしまったのでは本末転倒になる。地域建設業が施工余力を十分に発揮できないような入札・契約方式を排除し、“不要な不調・不落”の発生を避けなければならない。

B 仮に工事の発注や施工が滞り、公共事業予算が消化できないといった事態に陥れば、5か年加速化対策だけでなく、22年度以降の予算動向にも影響を及ぼしかねない。中長期的な視点に立てば、社会インフラや国土形成のあり方、ひいては国民の安心・安全にもかかわることだ。受発注者が一体となって、何としても円滑な施工を推進しなければならない。

地域建設業の施工余力を十分に発揮できる入札・契約へ、対等な立場での真摯な議論が求められている

◆複雑・個別化するニーズに領域拡張

A そういえば日本コンストラクション・マネジメント協会の20年度CM業務市場調査アンケート結果では官公庁・公共団体発注のCM業務がかなり増えたようだが。

D 前回調査から倍増した。調査対象が前回までの認定コンストラクション・マネジャー(CCMJ)が2人以上いる会社70社余りから、今回は同資格者のいる341社すべてに拡大したこともあるが、過去3年間の調査すべてに回答している9社に限ってみても官庁・行政団体の売上高は2倍以上となっている。

E 今回の調査では比較的小規模な設計事務所が地方でのCM業務の受け皿になっている実態も把握できた。国交省が昨秋に「地方公共団体におけるピュア型CM活用ガイドライン」を公表したことも追い風に、今後さらに地方公共団体でのCM需要は高まるのではないか。

D 自治体の技術系職員、特に建築分野のマンパワー不足も背景にはあるが、それ以上に人口減少や超高齢化など時代の変わり目にあって発注者の意識も変わらざるを得ない状況になっている。隣町を横目で見ながら全国画一的なメニューに従って造っていればいい時代ではないからね。

A ニーズはますます多様化・複雑化し、かつ個別化しているわけか。より専門性が求められる。プロの出番というわけだ。

E コロナ禍の影響も当然あるが、機能統合や長寿命化に加え、「造らない」という選択肢も含めてCM業務の領域は確実に広がっていく。まさに日本CM協会の川原秀仁会長が提唱する「施設参謀」としての役割が今後ますます求められていくだろう。



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