【街づくりの味方に】位置情報ビッグデータ分析・可視化サービス「LOGIO」が可能にする未来 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【街づくりの味方に】位置情報ビッグデータ分析・可視化サービス「LOGIO」が可能にする未来

 IoT(モノのインターネット)センサーなどで収集したデータを活用する取り組みが、さまざまな分野で広がっている。これまで活用が難しかった人の位置情報を含むデータも活用できるようになってきたことで、まちづくりや再開発事業でのビッグデータの活用にも道が開けてきた。ドコモ・インサイトマーケティング(DIM)が提供する「モバイル空間統計」の正規代理店として、ジェーエムエーシステムズ(JMAS)が展開する位置情報ビッグデータ分析・可視化サービス「LOGIO」(ロヂオ)は、人流の変動状況を把握できるサービスとして、開発事業者の大きな味方になりそうだ。

 携帯電話の位置情報といった個人情報につながるデータの商業利用は、国内ではこれまで難しいとされてきた。ところが近年、政府が個人情報を含むビッグデータの商業利用に前向きになり、環境が整ってきたことで利活用が進み始めた。例えば、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言前後の特定地域の人出といったニュースは、こうしたデータが基になっている。

 なかでもNTTドコモの国内携帯電話約8000万台の運用データを基に推定した人口情報を提供するのが、DIMの「モバイル空間統計」だ。GPS(全地球測位システム)データではGPSとの接続の有無でデータが途切れる上、アプリのインストールが必要で、サンプル数も限られる。まちづくりの際に特定地域の人口を把握するために行われてきた通行量調査は、サンプルが調査実施日時に限られ、データの連続性や性別・年代にも課題がある。対してモバイル空間統計は、ドコモユーザーすべての24時間365日(1時間ごと)の位置情報を125mメッシュ(都市部)で把握でき、携帯電話の契約情報に基づく性別・年代・住所といった属性分析も可能だ。

最小1時間単位で人工推移・性年代別人口・流入元ランキングを表示


 JMASが提供する「LOGIO」は、モバイル空間統計データを顧客のニーズに応じた形で可視化できる。専用アプリなどは不要で、グーグルクロームで専用ページを開き、アカウントとパスワードでログインすれば利用できる。モバイル空間統計の正規代理店のため、データ提供だけも可能で、データ(調査エリア・期間ごとに見積もり)を購入すればLOGIOの利用料は無料だ。

 「情報を見てもらうことに特化した」(傳寳幸宏事業企画部事業企画グループ統括マネージャー)というサービスで、「日本全国を500mメッシュ単位で、最小1時間ごとに男女・年代別に、どの市区町村から特定の地域に移動してきたか、対象エリアでの地域・時間・属性単位で人口を分析できる」という。

 500mメッシュの対象地域の人口ヒートマップを表示し、可視化する対象地域や対象日を選択できる。建物名で対象地域の検索も可能だ。人がどこから対象地域に流入してきたかといった流入元地域や、性別・年代別のランキングも表示できるほか、「選択した2つのエリアの比較表示や複数エリアの合算表示もできる」と、多様なニーズに対応できる表示スタイルを確立している。

対象地域の人口ヒートマップ。500m単位のエリア選択で詳細表示


 例えば、「商業施設の開発では競合店舗への流入元の調査など、定量的な根拠に基づく検討ができる。日中と夜間の人口分布を把握すれば、自然災害時の帰宅困難者数の推計、宿泊施設の確保、迂回ルートの設定などの防災計画での活用も考えられる」とするほか、「バス路線の見直しでも実際に使われているほか、高速道路建設時の効果分析も可能だ」(九後優事業企画部営業企画グループ)と、活用場面のイメージは広がる。

 個別分析サービスなら、顧客が保有するPOSデータなどの各種データとモバイル空間統計データを組み合わせた分析・可視化にも対応する。

 まだ2020年8月にサービス提供を開始してトライアルが始まったばかりだが、確実にユーザーは増え、日に日に注目度が上がっている。今後は、「人の行動を把握すれば、その人の趣味・趣向が見えてくる。同じ趣向の人ごとの行動を分析・可視化するなど、属性情報の付加に力を入れる」(傳寳統括マネージャー)とさらなる展開も見据えており、3年で100社程度の導入を目指す考えだ。



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