【BIM未来図】設計BIMの2020年代を考える⑤ | 建設通信新聞Digital

5月21日 火曜日

B・C・I 未来図

【BIM未来図】設計BIMの2020年代を考える⑤

データ連携へ標準フォーマット必要
日建設計アソシエイト 坂井悠佑氏


 日建設計の構造設計グループ内のデータ連携は自社ソフト『BUILDING 3D』を使用し、変換プログラムを用いてRevitのBIMデータを作成している。一般的なプロジェクトから特殊な案件まで対応することで、新築プロジェクトのほぼ100%を構造BIM化できている。

 社内のデータ連携は、意匠・構造それぞれのファイルで作業し参照する「Bタイプ」を中心にしたいと考えている。成果品の精度を勘案した結果、構造のダミーデータを意匠のファイルに当てはめて作業する「Cタイプ」に途中から移行することが多くなっているが、より経験を積むことでBタイプを中心にしていきたい。

 社外とのデータ連携では、施工者に当社のBIMを理解してもらうため、SBDT(Structural BIM Design Tool)で、社内の各種Revitツールを公開している。

 構造BIMは十分活用できる段階にあり、今後は連携が重要になってくる。そのためには標準的なフォーマットが必要で、SBDTは選択肢の1つになり得る。良い意見があれば取り込んでいき、皆さまと一緒により良い構造BIM環境をつくっていきたい。

社内データ連携(意匠×構造のモデル)



意匠標準化で設備の導入大きく前進
日本設計シニアマネージャー 吉原和正氏

 設備設計でBIMを活用する際に注意すべき点は、CADで図面を作成したあとに導入しても、負担が増えるだけということ。BIMは図面化だけでなくプロセスで活用するのが肝心であり、2Dも併用しながら情報主体に活用するのが効果的だ。

 3Dモデリングは必要最低限に抑え、情報を主体とした建物のデータベースと捉え直すことが肝心だ。連携ソフトを活用すれば最低限のモデリングだけで計算書や機器表を作成することができ、ビジュアルプログラミングを導入することで設備のルーチンワークの自動化も可能になる。

 設備の基本作業を自動化するためには、意匠との連携が重要になる。設備が必要とする意匠の情報は限られている。その情報が標準化されていれば、設備でのBIM導入は大きく前進するだろう。

 情報の一元化がBIMの大きな目的だ。 プロジェクトデータを蓄積し、 AIで分析しながら後の設計に反映する仕組みが今後目指していくべき姿である。 データベースを各社で整備するのには限界がある。 国際ルールに乗っ取りながら国内で標準化を進め、 最終的にBIMソフトに実装していくことが求められる。

BIMを中心にした設備のワークフロー



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