【BIM未来図】設計BIMの2020年代を考える⑦ | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【BIM未来図】設計BIMの2020年代を考える⑦

BIMデータは関係者全員のもの
アーキ・キューブ代表取締役 大石佳知氏

 事務所では、基本設計から実施設計、監理までのすべてを意匠設計者がBIMを使って設計している。意匠設計者がBIMを主体的に活用し、そのデータ管理を竣工モデルにまで生かそうと取り組んでいる状況にある。

 BIMの導入により、基本設計段階では短期間で作図ができ、3次元パースを同時に作成している。実施設計では基本設計を加筆する形で実施設計図の作図をできるため、基本設計に時間がかかっても実施設計に移行する前提であれば、素早く付加価値をつけて作図することができるようになった。監理段階では内装材の選定や干渉チェックに生かしている。

 業務環境も大きく変わった。作図作業を分業でするのではなく一人ひとりが担当プロジェクトのモデリングを進めるスタイルになった。現場においても持参したノートPCを使い3Dビューでの打ち合わせが可能となるため、関係者の意思疎通をより図ることができるようにもなっている。

 作成したBIMデータは、工事関係者全員のものだと考え、積極的に公開するようにしている。今後は竣工BIMデータをもとに、設計者が建物の維持管理にまで関わっていけるよう環境を構築したい。


サスティナブルな労働環境を目指す
横松建築設計事務所代表取締役社長 横松邦明氏

 グラフィソフトのBIMソフト『Archicad』を初めて導入したのは2008年だった。まずは私ひとりが始めた。設計に加えクライアントへのプレゼンテーションにも活用しながら使用する物件のサイズアップをしていった。

 スタッフにもArchicadを教え、社内でBIMの普及を図る上ではテンプレート化が重要だった。みんなが同じようなデータを作れるようにならないと管理できないためだ。テンプレ化を進めた後は、Archicadのチームワーク機能を導入した。クラウドを使えば複数かつ遠隔地からでも作業ができるので場所を選ばずに協業でき、便利になっている。

 この環境になってからは次のステップとして多店舗化に取り組んだ。東京にオフィスを開設し、ことしは新潟にもオフィスを設置する予定だ。これらの取り組みで業務エリアも拡大し、仕事のジャンルも広がってきた。さらにはBIMを使う人たちとネットワークを構築した。「シンクス」というチームを作り、共同で仕事をする機会ができている。今後は、サスティナブルな労働環境を目指していく。BIMはリモートとの相性が良く、どこにいても仕事ができることに注目している。広範囲なフリーアドレスをイメージしている。



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