大阪府高槻市の市街地で整備が進められている安満(あま)遺跡公園。2019年3月に1次エリアを開園させ、以降も残る東エリアの工事を行ってきたが、27日に待望のグランドオープンを迎えた。都市再生機構(UR)西日本支社は防災公園街区整備事業の施行者として高槻市と連携しながら造成や施設整備を担っており、今後も「市民とともに育てつづける」をコンセプトとする公園の発展を見守っていく。
公園敷地はJR・高槻駅と阪急電鉄・高槻市駅から徒歩圏の市街地(八丁畷町)で、かつて京大大学院農学研究科付属農場があった場所。同農場が移転することになり、この地に弥生時代の大環濠(かんごう)集落跡「安満遺跡」が存在していることから、同遺跡を保存・活用するとともに、防災機能を備える安満遺跡公園を整備することになった。
国の史跡に指定されているため掘削などができない部分も多く、そこを除いてURが土地取得・開発する形となる。全体敷地20.9haで、URはこのうち8.1haの整備を担当。一次開園までは西側の4.1ha、以降は東側4haの工事を行ってきた。
2次開園エリアでは敷地造成、植栽、照明、給排水などの工事を行っている。防災公園のため、災害時には避難地や防災拠点として活用できるよう考えて計画されており、2カ所の防火水槽や10基のマンホールトイレ、防災倉庫なども設置している。
また、1次エリアに整備した屋根付き広場が利用者から好評を博しているため、市の要望を受ける形で2次エリアにも40×25m(高さは5~8m)でトラスと膜材を組み合わせた屋根を設置したSAKURA広場を設置している。
安満遺跡は環濠がめぐる居住地や水田、集団墓地があるのが大きな特徴のため、史跡事業エリアでは遊歩道などに沿って居住域、生産域、墓域を見られるようにしている。
全体敷地中央部にある環濠内にある京大が利用していた建築物は、歴史拠点として改修などを行って活用する。本館はレストラン&ティールームが入り、体験館や展示館は市民が遺跡や歴史を感じ、学べる施設としている。さらに環濠には照明を設置しており、夜には光るリングとして浮かび上がる。
「市民とともに育てつづける」のコンセプトを意識し、URは整備の最終イメージまで完成させる「フルメイド」エリアと、骨格となる基盤整備を行うが時代やニーズに合わせて公園づくりを進めていけるようにあえてつくり込まない「ハーフメイド」エリアに分けて工事を進めてきた。
UR西日本支社都市再生業務部事業推進課の磯崎正慶担当課長は「住民参加のワークショップで皆さんとともにつくってきた公園であり、グランドオープン後も利用者に喜んでもらえる施設だと思う。みんなの想いが詰まった気持ちの良い公園として活用してもらいたい」と述べ、高槻市街にぎわい部歴史にぎわい推進課の大矢滋主幹は「新しいURを見せてほしいという思いでさまざまな要望を出し、連携しながら進めてきた。URには柔軟に対応してもらったと感じている。今後も市民とともにこの公園を育てていきたい」と感想を語る。