【BIM/CIM2021③】NEXCO東日本 業務効率化と維持管理に効果 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【BIM/CIM2021③】NEXCO東日本 業務効率化と維持管理に効果

 東日本、中日本、西日本のNEXCO3社で、BIM/CIMの活用が着実に広がり始めている。各社の取り組みが拡大する中、プロジェクト関係者の情報共有もより密接になり、発注者としてBIM/CIM対応を拡充するための体制づくりも活発化する。3社の取り組みを通し、高速道路事業におけるBIM/CIMの方向性を浮き彫りにする。

左から中村雅範技術統括課課長代理、山崎達夫技術管理課係長、片倉昌裕技術管理課課長代理


 NEXCO東日本は、2018年10月から道路詳細設計や連絡等施設詳細設計などを対象にBIM/CIMを導入している。これまでに首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の延伸事業、4車線化事業、スマートIC、休憩施設(SA・PA)など23業務で展開し、このうち8業務が20年末時点で完了している。

 BIM/CIMの導入は、「業務の効率化」と「将来の維持管理への活用」に効果的と考える。設計段階で設計成果を可視化し、設計ミスや施工の手戻りを防止する。施工者側の活用では工事管理業務を効率化する。維持管理については「例えば、地滑り地帯の調査データを基に3次元化することで、災害の予防保全につながる。将来の維持管理に役立てる部分のBIM/CIM化、3次元データ化を進めたい」

 一方で、データ量が膨大になる3次元データは、利活用に支障が出ることが想定されるため、維持管理に必要な情報を見極めた上でBIM/CIMとしてのサイクルを回すことが重要と考える。

SIC(スマートインターチェンジ)におけるCIM活用事例


 現在は、道路詳細設計や連絡等施設設計が完了した段階で、今後、3次元設計を活用したICT土工にも取り組む。同社は「土質調査や地形データの作成方針、3次元モデルの成果物の作成方針を整理し、道路設計以外の業務にも拡大したい。当面、どの程度の規模の工事にBIM/CIMが適応しているのかを判断するために試行を重ねていく」

 ソフトは、設計図書で同社が閲覧に使うオートデスク社製品を使用。各支社で基礎知識習得やハンズオン(体験学習)研修を18年度から始めた。20年度はコロナ禍で研修が困難だったため、 BIM/CIMの一連の流れや具体的な事例を取りまとめた動画を作成し、関係部署に配布した。21年度以降については「コロナ禍でも可能な研修のあり方を考えていく」

 業務プロセスを変革するために展開中のスマートメンテナンスハイウェイ(SMH)では、情報基盤の刷新や連携を通じた維持管理のプロセスの高度化に取り組んでおり、ICT土工で作成した3次元データとの連携を検討中だ。SMHのシステムにBIM/CIMをつなげてプラットフォームを構築する。「BIM/CIMとSMHを組み合わせ、道路管理者として本当に必要なものは何かを示し、活用法を見いだしたい」考えだ。



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