【技術裏表】日積サーベイが概算コスト算出アドイン提供 BIM活用した積算連携の流れ加速中 | 建設通信新聞Digital

5月14日 火曜日

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【技術裏表】日積サーベイが概算コスト算出アドイン提供 BIM活用した積算連携の流れ加速中

 日積サーベイ(大阪市)の積算ソフト販売が40年の節目を迎えた。生島宣幸社長は「この記念すべき年に合わせ、日頃の感謝とともに、新たな時代を見据え、BIMソフト向けのアドインツールも提供する」と明かす。先行して6月から3次元建築積算システム『HEΛIOΣ(ヘリオス)』を機能強化し、合わせて特別販売のキャンペーンをスタートする。年内には設計を進めながら概算コストをワンクリックで算出できるアドインツールもリリースする計画で「コストコントロールの付加価値ツールとして大いに活用してもらいたい」と力を込める。

生島社長(右)と清水取締役副代表東京オフィス所長


 40年前当時、コンピューター積算を志向していた英国のQS事務所を参考に、日本で先陣を切って積算システムの販売に乗り出した。試行錯誤を繰り返し、これまでに10種類以上の積算システムを提供し続けてきた同社が集大成となる『HEΛIOΣ』シリーズをリリースしたのは2005年からだ。年1回のペースでバージョンアップを進め、現行のHEΛIOΣ2021は16代目となる。

 国内でBIMプロジェクトが進展する中、積算データ連携の要望は高まりを見せている。近年は特に設計段階におけるコストコントロールの要望が拡大してきた。生島社長は「そのためには、設計の初期段階から概算コストを把握することが非常に重要になる」と考え、国内で使われている主要BIMソフト『Revit』『Archicad』のアドインツールとして、設計しながら効果的にコストコントロールできるシステムの開発を進めてきた。

年内にリリースするアドインツールのイメージ


 このアドインツールを使えば、基本計画段階や基本設計段階に概算コストをリアルタイムに算定でき、設計プランが変更された際にも瞬時にコストをつかめるという。年内をめどに販売を始めるが、今秋からはプロトタイプをパイロットユーザー7、8社に使ってもらい、実務上の課題を整理する。初弾として概算コストを算出する上で、手間もかかり、ばらつきが生じやすい内部仕上げを先行し、ユーザーの要望を取り込みながら躯体や外部仕上げにも広げていく方針だ。

 6月から展開する「ソフト販売40年記念キャンペーン」では、HEΛIOΣの機能も強化し、一例として中層建築物(tB)タイプの対象範囲を、地上階で16階から20階、ブロック数で4ブロックから5ブロック、処理可能なスパン数で33スパンから40スパンに拡大する。清水達広取締役副代表東京オフィス所長は「tBタイプはユーザー全体の6、7割が使うボリュームゾーンだけに、HEΛIOΣの使い勝手は大きく向上する」と説明する。

 キャンペーンは6月1日から11月30日までの半年間。HEΛIOΣの販売価格を2割値下げする。5月27日には販売関連会社のバル・システム主催によるオンライン無料セミナーも開催する。

記念キャンペーンで『HEΛIOΣ』を2割値下げ


 最新版HEΛIOΣ2021は主要BIMソフトとのダイレクト連携環境が整ったほか、今回のキャンペーンに合わせた機能強化もあり、BIM積算連携の枠組みが広がった。セミナーにはユーザーの半数を占める500人以上の参加を見込んでいる。

 生島社長は「建築BIM推進会議が本格化し、呼応するように官民問わずBIM導入の動きが一気に高まり始めたことで、BIMデータを活用した積算連携の流れは一気に広がり始める」と見通している。BIMソフト向けアドインツールの提供は「今後到来するであろうBIM一般化を見据えた取り組みであり、次なる一手も考えている」と強調する。同社はBIM積算連携の新たなステージの扉を開け、力強い一歩を踏み出そうとしている。



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