【本格始動】水ラボコンソーシアムが高度人材育成に向け現場見学 多分野から約40人が参加 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【本格始動】水ラボコンソーシアムが高度人材育成に向け現場見学 多分野から約40人が参加

 小野組の小野貴史社長と新潟大災害・復興科学研究所の安田浩保准教授が発起人を務め、産学官で河川の改良技術の研究などに取り組む「水ラボコンソーシアム」の活動が本格的に始まった。目標とする高度人材の育成に向けて、19日に新潟県内の河川工事現場などで見学会を開催。コンソーシアムに参画する県内の建設企業や建設コンサルタントを始め、新潟大工学部、理学部の学生、自然科学研究科の大学院生など多分野から約40人が参加した。

阿賀野川下里地区河道掘削その8他工事を見学


 見学会に先立ちあいさつした小野社長は「実際の現場でどうコミュニケーションが取られているかを見て学んでほしい」と述べた。安田准教授は「現場を見て自分の考えをまとめ、意見を出せるようにしてほしい」と呼び掛けた。

 始めに羽越本線洪水防止連携整備事業の一環として坂詰組が阿賀野市で施工する「阿賀野川下里地区河道掘削その8他工事」を見学した。安田准教授は「堤防の低い個所は阿賀野川にとって長年の課題であり、国土交通省とJRが連携して解決する画期的な現場だ」と説明した。その後、同工事の現場事務所も視察した。

 五泉市の早出川では、安田准教授が研究している、河川に配置した水制工により中央に流路を形成する拡縮工法の実証フィールドを見学した。安田准教授は従来の河川改修は治水を重視し、環境面に課題があることを指摘。実証フィールドでは鮭の自然産卵があったことなどを紹介し、「(拡縮工法は)環境と治水の両面に機能している」と説明した。

 その後、坂詰組が阿賀野市で施工する「渡場水制災害復旧工事」では、ICT建機と自動開閉バケットによりワンマンで生コンを打設し、根固めブロックを製作するデモンストレーションを実演。参加者からはICT建機の仕組みや作業効率について質問が寄せられた。

渡場水制災害復旧工事では生コン打設を実演


 午後は小野組が燕市で施工する「大河津分水路渡部地区低水路掘削及び護岸その3工事」を見学。その後、新潟市の新潟大に場所を移し、見学会を振り返った意見交換を実施した。

 水ラボコンソーシアムは2020年11月に設立。小野組、キタック、エヌシーイー、日立建機、金井度量衡、坂詰組が参画する。広域化する災害や気候変動に伴う流域治水への転換、博士課程進学者の減少といった課題を踏まえ、参画企業と新潟大が連携しながら防災に向けた河川の診断や点検、改良技術などに関する共同研究や技術開発を推進する。

 取り組みを通じて学生や参画企業の人材の学びにつなげ、高度人材の育成を目指すとともに、産官学の交流を促進する。活動を通じて県内の建設産業への高度人材の輩出を始め、地域の課題解決、ベンチャー企業の創出支援などを見込んでいる。



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