【豊かに働く】健康ケアでパフォーマンス最大化 意識、身体の両輪で/フジタ 健康増進センター | 建設通信新聞Digital

5月22日 水曜日

公式ブログ

【豊かに働く】健康ケアでパフォーマンス最大化 意識、身体の両輪で/フジタ 健康増進センター

 「働き方改革を自分事として捉えることと、良好なフィジカル・メンタルという両輪がバランス良く回れば、良い働き方につながる」。健康経営推進に向け、フジタが4月1日付で新設した「健康増進センター」の小林節センター長は、働き方改革について、こう語る。社員の健康を企業としてケアし、パフォーマンスを最大化することが持続的な成長の第一歩となる。

小林人事部長兼健康増進センター長


 健康増進センター設置のきっかけの1つとなったのは、2020年4月に本社に専属の産業医を迎え入れたことだった。じっくりと社員の状況を見てもらうと、「健康診断やメンタルヘルス、海外赴任など、目的によってそれぞれの部署から医療職に相談があり、ワンストップの窓口があった方が良いという提案があった」。これを受け、センターを立ち上げて相談窓口を一本化するとともに、健康経営推進の体制を整えることにした。

◆生産性向上も社員の健康あってこそ
 『健康管理は社会人の第一歩』。こう教えられてきた人は少なくない。あくまでも個人に任されていた健康管理を、なぜ企業がケアするのか。小林センター長は「1人が休職すると誰かに負荷が掛かり、その業務を担う人も負担が増え、企業全体のパフォーマンスが落ちる。フィジカルやメンタルの問題で社員が休職している状態は、社員の能力を100%発揮させていない。少しでも休職者を出さないことが、企業活力や生産性の向上につながる」と強調する。業務の効率化やデジタル化といった生産性向上も、働く社員の健康があってこそ実現できることであり、社員の健康づくりは企業の土台づくりになる。

 社内の体調不良者の減少に向け、20年度から定期健康診断で数値の良くない社員に産業医や保健師が個別に受診などの指導をしたことで数値の良くない社員を大幅に減らした。メンタル面での休職者も、「産業医の意見を聞きながら、段階的に復職するプログラムをつくった」とし、「まずは、こういったことを地道に取り組む」と語る。コロナ禍のテレワークで “運動不足”という新たな課題も浮上してきたため、フジタが協賛する7人制ラグビーチーム「サムライセブン」のキャプテンを務め、フジタの業務推進センターにも所属する佐藤顕亮さんを講師として制作した自宅でできるトレーニング動画の公開も、地道な取り組みの1つだ。

運動不足解消のために社員向けトレーニング動画を作成


◆健康経営優良法人を継続、ホワイト500取得も視野
 今期は、「個人ごとに過去の健診結果をデータ化して一人ひとりのカルテをつくりたい」と考えている。こうした取り組みを続けることで、「20年度に初めて認定を取得できた健康経営優良法人を継続的に取得し、2年以内に『ホワイト500』を取得したい」と目標を示す。

 企業として個人の健康ケアに配慮していく姿勢だが、あくまでも個人の意識に期待する部分が大きい。「社内研修の中でも働き方改革の時間を設け、自分自身に何ができるのかをテーマにグループ討議することで、働き方改革を自分事として捉えるように促している」という。企業人として成長期にある社員からは「もっと働かせてほしい。勉強したい」という声が上がることもある。個人の成長にとっては重要な時期だが、小林センター長は「あくまでも私見」と断りつつ、「限られた時間の中で集中して最大限のパフォーマンスを出すことにこだわる社員になってもらいたい」と語る。終業時間を決められることが、 自らの働く時間や業務量を自分で考えるきっかけにもなるということだ。意識改革と企業による健康ケアという両輪が回ってこそ、デジタル化やロボット化も含めた生産性向上の取り組みが実を結ぶことになる。

 ただ、健康管理と労働時間の短縮を促すと、これまで以上に、本来の業務の質・量の達成度合いを測る仕組みも重要になる。例えば、残業の削減時間を目標に設定して達成度を評価すれば「残業を減らす社員への動機づけになる」という考え方がある一方で、「そもそも業務の質や量は、部門や職責によってさまざまであり、スタートラインが違うのに単純に削減時間で評価して良いのか」という課題も残り、「議論を続けている」と模索は続く。



建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら