【天ヶ瀬ダム再開発を推進】瀬田、野洲川は河道掘削など 近畿地方整備局琵琶湖河川事務所 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【天ヶ瀬ダム再開発を推進】瀬田、野洲川は河道掘削など 近畿地方整備局琵琶湖河川事務所

 近畿地方整備局琵琶湖河川事務所は、2021年度事業概要を公表した。天ヶ瀬ダム再開発事業は21年度内の完成を目指し、工事を進めるほか、琵琶湖からの唯一の流出河川である瀬田川と最大の流入河川である野洲川では、河道掘削や樹木伐採などを行う。

再開発中の天ヶ瀬ダム


 京都府宇治市にある天ヶ瀬ダムでの再開発事業は、既存のダム湖にトンネル式放流設備を新たに設けることで、琵琶湖水位の低下や水道用水の確保、発電能力の増強を実現するもの。再開発により、放流能力を1秒当たり840m3から1140m3に引き上げるほか、27万世帯分の発電能力と17万人分の水道用水を確保できる。20年7月には流入部が貫通している。

 21年度はトンネル式放流設備工事を継続するほか、照明などの電気設備、周辺道路の整備を行う。水路トンネルは流入部、導流部、ゲート部、減勢池部、吐口部で構成し、減勢池部のトンネルは最大で長さ617m、幅23m、高さ26mとなり、水路トンネルとしては日本最大級のトンネルとなる。

 瀬田川(大津市)では、洪水時の放流に対応するため、大戸川との合流地点から下流で毎秒1500m3の流下能力確保を目指す。天ヶ瀬ダム再開発事業の進捗にあわせて、瀬田川洗堰下流の河道掘削を行う。鹿跳渓谷(同市)では自然環境の保全や親水性などの観点を重視した河川整備を検討する。

 野洲川では「防災・減災、国土強靱化のための5カ年加速化対策」の一環として、滋賀県野洲市三上地区や守山市新庄地区などの偏流によって河岸侵食が発生している個所で河道掘削と樹木伐採を行う。

 このほか、「水防災意識社会再構築ビジョン」に基づき、学校への防災教育や出前講座、水害リスクラインによる水位情報の提供、イベントでの啓発活動などの対策も進める。「水のめぐみ館アクア琵琶」や「ウォーターステーション琵琶」などを活用した地域住民との連携や情報提供にも努める。



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