【食・交通建設 「オフィスおかん」を導入】本格派の食事、いつでもすぐに/口コミで人気 | 建設通信新聞Digital

5月15日 水曜日

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【食・交通建設 「オフィスおかん」を導入】本格派の食事、いつでもすぐに/口コミで人気

 交通建設は、食事を通じて社員の福利厚生を向上させるため、OKAN(東京都豊島区)の置き型社食「オフィスおかん」を導入した。

和食を中心に本格派のレトルト総菜を食堂や事務所の冷蔵庫に保存しておき、1品100円を支払い、好きなタイミングに電子レンジで加熱して食べる仕組みとなる。鉄道工事特有の夜間現場でも、いつでもすぐにおいしい料理が食べられると好評だ。現場の導入を支援する高橋幹管理本部人事部長と、同社が初導入した研修センターの中村竜太郎講師に食生活を改善するメリットを聞いた。 

高橋部長(左)と中村講師

 2018年に初めて導入した研修センター(千葉県佐倉市)は、JR東日本の現場監督を育成する職業訓練校で、高卒入社の新人は1年間、鉄道工事のイロハを学び資格を取得する。全寮制施設のため、毎年全国から15人前後の新入社員が集まり、共同生活を送る。

 もともと研修センターでは食堂を運営していたが、東日本大震災を契機に料理の提供を停止した。その後、再開を目指したものの調理スタッフを集めるのが難しく、研修生の食事は昼食に仕出し弁当、朝と夜は自炊か総菜を買ったり外食するなどしていた。中村講師は「栄養のバランスは本人次第。高校を卒業してすぐ寮に入るため、親御さんは食生活を心配される。食事相手が特定のグループに固まったり、孤食にならないよう食堂を再開する方法を探っていた」と振り返る。

 高橋部長は「研修生の食生活は社長の懸念事項でもあった。OKANのサービスを社長が見て、調理スタッフがなかなか決まらない研修センターに導入することにした」と明かす。

 オフィスおかんは、国産を中心に魚・肉・野菜などの素材の持ち味を生かし、管理栄養士が監修した主菜や副菜など20品目以上を提供する。中村講師は「オフィスおかんは研修生の食事の選択肢を広げ、栄養の偏りを防ぐ効果がある。毎月半分はメニューが変わるため、長い寮生活でも飽きないところが良い」と語る。

 毎月送られるメニュー表を見て研修生が食べたい料理を選び、一括発注する。届いた総菜は食堂の冷蔵庫に保存しておき、一品ごとに100円玉を専用ボックスに入れ、電子レンジで温める。ご飯と味噌汁が食堂から提供されるため、そのおかずとして食べる。月100個程度を発注していたが、「ことしの研修生はよく食べるため、150個に増量する予定だ」という。



 導入してからは、研修生が食堂で食べる機会が増え、コミュニケーションが活性化した。「研修生のさまざまな情報が講師まで上がるようになり、コンディションやメンタルの状態が分かりやすくなった。特に地方から入社する人は5-7月が一番ナーバスになりやすいため、調子を把握することが重要になる。コロナ禍で故郷に帰るのが難しいため、孤独を感じないよう、コミュニケーションづくりにオフィスおかんが果たす役割は大きい」と評価する。

 総菜は1品ずつ真空包装し、30日間の長期保存が可能だ。味の評判も良く、特に「角煮」の人気が高いそうだ。調理スタッフを雇うのに比べて人件費が圧倒的に少なくなり、コストダウンにも貢献する。「昔の食堂に近い状況をつくることができ、コミュニケーションが戻ってきたのがうれしい。まさに母親(おかん)の気持ちだ」と笑う。

 こうしたメリットが口コミで社内に広がり、現在10現場が導入(予定含む)している。買い出しが不便な地方の現場もあるが、その多くは渋谷や新宿、横浜など都会の現場だ。


食堂に集まることで自然とコミュニケーションが生まれる

 そもそも鉄道工事は夜間作業が主体であり、連勤もあるため食生活が不安定になりやすい。高橋部長は「初日は弁当を持ってきても後は外食に頼ることがほとんど。食事を心配するご家族も多い」と健康面の課題を指摘する。

 社員ごとに勤務時間や食事のタイミングが異なり、作業工程もタイトなため、「食事を買いに現場の外に出る時間が惜しいと感じる社員は多い。そんな時に器や箸も届くため、料理をぱっと食べられる手軽さが支持されている。時間を気にせず好きな時に食べられるのは大きなメリットであり、鉄道工事に合っている」と分析する。



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