【九州整備局がDX技術で防災通信訓練】5Gなど駆使し災害に備え | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

公式ブログ

【九州整備局がDX技術で防災通信訓練】5Gなど駆使し災害に備え

 九州地方整備局は14日、福岡県久留米市の九州技術事務所で、5G(第5世代移動通信システム)やAI(人工知能)などDX(デジタルトランスフォーメーション)の新技術を活用した2021年度前期防災通信訓練を開いた。いずれの技術も実用段階で、災害での活躍が期待される。訓練には同局職員ら約30人が参加し、新技術の操作性などを確認した。 

スマホによる高精度3D測量(GeoScan)


 訓練で活用したDXは▽GeoScan▽ScanXクラウド▽edgeAIカメラ–の3技術。

 GeoScanは、オプティムと松尾建設が共同開発したアプリケーションで、市販のスマートフォンに登載されているLiDARセンサーと全世界測位システム(GNSS)レシーバーを使い、高精度の3D測量を可能とする。レシーバーを5mピッチに置いて基準点を取得しながら、センサーが届く5mの範囲で、対象物を動画撮影する感覚で画面に入れていくだけで自動計測する。従来の専用機器と比較し、コスト低減が図られ、時間や要員も短縮・削減できる。誤差も1、2cmだという。

スキャン・エックスのクラウドサービス


 スキャン・エックスが開発したScanXクラウドは、GeoScanで取得した計測データを、クラウドの統計的手法によりノイズや不要なデータの処理を自動的に行う。NETIS(新技術情報提供システム)登録技術で、ことし静岡県熱海市で発生した土石流災害ではデータを県と共有するなど貢献した。

 FCNTが開発のedgeAIカメラは、AIや各種センサーを登載した5Gの通信機能を持ち、災害現場の360度映像をリアルタイムで配信するほか、現場の騒音など各種データをAIで処理することができる。遠隔操縦する重機に取り付ければ遅延をなくし実際に近い操縦が可能となり、今後の応用も期待されている。

 同局は災害発生時の通信の確保を図るため、通信機器の操作習熟を目的とした防災通信訓練を毎年2回実施している。この日は、これらの新技術を操作したほか、久留米市内で震度7の地震が発生したという想定で、衛星通信によるヘリや現場の衛星通信機器からのリアルタイム映像の伝送などを実施した。



建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら