【BIM未来図 地域建設業のいま(上)】総合建設会社SAWAMURAが、付加価値づくりにBIM導入 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

B・C・I 未来図

【BIM未来図 地域建設業のいま(上)】総合建設会社SAWAMURAが、付加価値づくりにBIM導入

 総合建設会社のSAWAMURA(滋賀県高島市)がBIM導入に舵を切った。2019年夏の導入から2年が経過し、これまでは設計段階への導入が主体だったが、近く本格着工する自動車展示場新築工事で設計から施工へのフルBIMにもチャレンジする。澤村幸一郎社長は「付加価値づくりにBIMが貢献し始めてきた」と力を込める。

澤村社長


 創業70年を迎えた同社は建築を中心に幅広い用途で事業展開している。住宅4割、非住宅6割という受注バランスの良さが強みだ。直近21年9月期の売上高は45億円を超え、前期実績を上回る見通し。19年からは『きっかけを創造する』を成長戦略のコンセプトに掲げ、顧客企業へのブランディングにも力を注ぐなど、建設業の新たな形を追い求めている。

 BIMの導入も成長戦略の一環に位置付けている。設計課自らが導入を決め、主要BIMソフトの中から直感的に設計できるグラフィソフトの『Archicad』を標準システムに採用した。導入検討時には澤村社長を始め、設計や工事のメンバー総勢7人で、鹿島が大阪市内で施工していたオービック御堂筋ビル新築工事を訪れ、最先端のBIMに触れ、そこで目の当たりにしたBIMの奥深さが導入の後押しにもなった。

SAWAMURAのBIMに関する取り組み


◆導入2年で基本設計20件超
 BIM推進役として社内をけん引するソリューショングループ設計課の徳永康治氏は「施工時に細かな収まりまで確認できる仮想竣工の取り組みに驚き、われわれもBIMを効果的に使いこなしたいという前向きな気持ちをもらえた」と話す。澤村社長も「建設プロセスの中でBIMモデルの詳細度(LOD)を段階的にどう設定すべきか、参考になった」と振り返る。

 とはいえ、導入初年度は苦労の連続だった。Archicadの関西ユーザー会に積極的に参加し、操作スキルを磨くことに力を注いだ。最初から全てを習得するのではなく、できるところからピンポイントで使うことを心掛け、着実に階段を上ってきた。現在は基本設計の全案件に導入している。設計課主任の木曽篤氏は「頭の中のイメージを直感的に形にできるようになり、設計の仕方自体が2次元の時とは大きく変わり始めている」と強調する。

 導入2年目がスタートした20年10月には設計課主導で3カ年のBIM導入計画を策定し、工事段階への導入目標も位置付け、社を挙げてBIMと向き合う体制にシフトした。設計課も3人から6人体制に増員し、工事段階への導入では、設計課がプロジェクト特性を踏まえながらBIMの効果的な使い方を示した上で導入プロジェクトを選定している。

 現在のBIM導入実績は、基本設計段階の導入で20件を超え、このうち実施設計段階では6件、工事段階では着工前の1件を含め3件に導入を決めた。澤村社長は「自ら目標を掲げ、一歩ずつ前に進む推進役の設計課の姿に力強さを感じている」と手応えを感じている。



建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら