【BIM未来図・美保テクノス④】社内横断で建設DX推進へ デジタルツールは経費扱い | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【BIM未来図・美保テクノス④】社内横断で建設DX推進へ デジタルツールは経費扱い

 建築分野でBIM導入を戦略的に進める美保テクノス(鳥取県米子市)は、土木分野でも3次元モデルデータの活用を重要視している。国土交通省の直轄事業で2023年度からBIM/CIMの原則適用がスタートすることも意識しながら、社を挙げてBIM/CIM対応にもかじを切った。

 その流れは16年に取り組んだ鳥取県初のICT活用工事が出発点となった。当時の現場は協力会社と連携してICTプロジェクトチームを立ち上げるとともに、オートデスクのBIM/CIMソフト『Civil 3D』の導入を決め、現場主体で3次元対応を推し進めてきた。それを機にICT推進室を発足させ、現在は各現場へのBIM/CIMの下支え役として機能している。21年度には日野川河道整備第2工事で国交省中国地方整備局の中国i-Construction表彰にも選ばれた。

 野津健市社長は「土木分野は国交省が原則化を打ち出したことで、取り組むモチベーションが明確になった。やらざるを得ない状況になり、戦略的に進めることができている」と手応えを口にする。先行して進めてきた建築のBIM導入が土木部門への後押しにもなった。情報システム部、BIM戦略部、ICT推進室が連携した建設DX推進委員会も発足し、事業領域にかかわらず横断的にデジタルデータを活用する検討も始まった。新田唯史BIM戦略部長は「BIM導入の際に社員の意識付けを重要視してきたように、土木でも導入目標をきちんと定め、各担当が納得して取り組めるよう、社として取り組むべき事項をきちんとクリアにしている」と説明する。

国交省BIM/CIM原則化にも社として対応


 標準BIMソフトに位置付けるオートデスクの『Revit』は現在27ライセンスに達する。Revit支援パッケージ『BooT・one』も同数を確保し、業務ツールとして定着している。この1年間で前向きな意識に変わった施工部門が自主的にライセンスの拡充を求めるなど、ライセンス数は右肩上がりに推移している。フルBIMの2プロジェクトで工事が本格化すれば、さらにライセンス数を引き上げる計画もある。

 「デジタルツールは投資でなく、経費の扱い」と野津社長が説明するように、BIM関連については各部門から上がってくる予算の要望をほぼ受け入れている。「経営戦略としてBIMをやろうと打ち出している以上、会社としても要望に応じて拡充している。要望した社員側もしっかりと自分たちのものにしなければ、という前向きな意識になっている」と強調する。

 BIMの社内教育も独自の枠組みで展開中だ。BIM戦略部が講師役を務め、マニュアルも独自に作成している。通常のカリキュラムは最大10日間、80時間にもおよぶ。会社として積極的に受け入れているインターンシップの学生向けに2日間のプログラムも用意している。今春迎え入れた新入社員11人のうち、インターン経験者の4人は既にBIM研修を受講済みというのも同社ならではの動きだ。

インターンシップでもBIM研修



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